KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

ケンジ世界放浪の記録

ラルンガルゴンパの鳥葬〜人生で最も心が震えた赤い景色〜

2014年9月28日
約 7 分

世界放浪2年間の旅で、最も心が震えた景色「ラルンガルゴンパ」旅行記の2日目です。
前回、チベットの辺境で偶然にも出会った知り合いの日本人達と共に鳥葬へ行くことになり、その壮絶な景色を見た旅の記録です。

・本記事は、2014年7月に旅した情報を元に作成しています

歩いて鳥葬場へ

▼放浪207日目 2014/7/2(水)
町の中心から北東へ。青々とした起伏のある丘を登り、息を切らしながら30分程の丘を登り下ると、青空にハゲワシが飛び交っているのが見えた。目的の場所も近いようだ。

丘を登りきると見晴らしの良い場所に出た。
斜面には大きなハゲワシが羽を休め、ぎょろりとした目でこちらを見ている。
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長く続く丘の斜面の終わりに土がむき出しの場所があった。
そこを中心にして100人か、とにかく多くの観光客がその周りを囲んでいた。
どうやらここで鳥葬が行われるようだ。
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こんな大勢の人の中で、まるでエンターテインメントショーが始まるかのような雰囲気に違和感を感じる。鳥葬は厳(おごそ)かに静かに行われるものと想像していたからだ。

 

ラルンガルゴンパの鳥葬

ふと奥で人の動きがあった。

2人や3人がかりで布やビニールにくるまれた大きな袋を運んできている。
どうやらこの中に遺体が入っているようだ。

(※注意)ここからの鳥葬の描写は少し生々しく不快に思う人が居るかもしれません。
もし嫌でしたら「ここから」「ここまで」読み飛ばして下さい。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼ここから▼▼▼▼▼▼▼

 
袋に包まれた遺体は全部で5体程。次々と袋が開けられ布をまとわない人の姿があらわになっていった。
私はかなり遠くの位置から見ていたのでここからでは男女や年齢の判別は出来ない。

全ての袋から遺体を出し終えると、エプロンをした男が現れ大きな出刃包丁を持って”作業”をはじめた。
淡々と遺体に向かって作業をする男の姿に感情はない。ただただ手際よくこなしている。

見ていると牛や豚、鳥を相手にしているような錯覚をしてしまう。
あれは人なのに。
 

時折風に乗って臭いが感じられるようになってきた。
生臭く少し甘い。独特で例えようのない匂いだった。
これが小説や映画で見聞きした遺体の匂いなのだろう。

すべての作業が終わると、一つの合図をきっかけに一斉にハゲワシたちが動き出した。
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大きな羽音と高い鳴き声を発しながら、数えきれない数のハゲワシが一か所に向かって集まっていく。
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鳥たちの羽ばたきで風が起こり、土煙が舞い上がるとまたしても周辺に強い匂いが漂ってきた。
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鳥たちは大群となり、密集しうごめいている。
鳥同士が争いあう、けたたましい鳴き声が響いている。
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ふと私のすぐ側に頭が赤く染まったハゲワシが睨んでいた。
鋭いくちばしを使ってこちらに襲いかかってくるのではと恐怖を感じる。
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向こうには2匹のハゲワシが白いゴムのようなものを引っ張り合っている。
よく見ると、あれは人間の皮膚だ。
 

私は今壮絶な光景を目にしている。
しかし鳥たちにとってはいつもの食事の時間にしか過ぎないのだ。

気づくと30分か2時間かわからない時間が経っていく。
何千ものハゲワシに囲まれてあっという間になくなっていく人の体。

出刃包丁を持った男は骨だけになった遺体を奥の小屋の粉砕機で粉々にし、それをまた鳥たちに撒いていた。
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日本では遺体を仏様と呼ぶ。
その神聖な仏様を無造作に扱うこの葬儀の光景は、私にとって衝撃的な出来事だった。

 

▲▲▲▲▲▲▲ここまで▲▲▲▲▲▲▲

ハゲワシもまばらになり観光客も居なくなり、鳥葬が終わった。

後片付けをしている男達をぼんやりとみながら、自然界の中で人というのは、なんとちっぽけな存在だろうかと思う。
人間の存在の小ささと自然界の力強さ、そして地球の全体の大きさを心の奥で実感したような気がした。

だったらこのちっぽけな命を全力で燃えつくさねばならない。

不思議と腹の底から静かなエネルギーが湧き出てくるのを感じ、この残された人生を後悔無く、全力で生きていかねばならないと思った。
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ラルンガルゴンパ周辺を歩く

▼放浪208日目 2014/7/3(木)
昨日会った日本の友達はそれぞれ次の街へ旅立ってしまった。
ギシさん、ヒロキくん、あすこちゃん、さきちゃん。
楽しかった。またどこかで会おう。

 

今日は一人で街を歩いてみる。
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やはりラルンガルゴンパは凄い異世界だ。どこを撮っても絵になる気がする。
今までの旅で、最も心が震えて興奮する。
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少し高台へ登った景色も素晴らしい。
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周りの山を周るとすぐに息が切れる。
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山にくっきりとした雲の形の影を落としている。標高が高い景色ならではだ。美しい。
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南側へ降りてみる。
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町から少し離れた道を歩く。
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歩いていると中国人カップルが話しかけてきて2ショット写真を要求される。
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2度目の鳥葬場へ

一度みたら十分、二度も見る必要は無いと昨日思っていた鳥葬場にまた来てしまった。
ズームレンズで鳥たちを撮りたかったからだ。
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丘の上に日本人のリサさんとフランス人のマルコさんを発見した。
この夫婦とは理塘(リタン)の町からの移動の時に初めて会って、2度目の鳥葬に来たのも二人がここに居ると知っていたからでもある。
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鳥葬を見終わり、3人でお喋りをしながら宿に戻る。
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道を間違えてしまい急な崖を登りながら
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街を見下ろす絶景ポイントで写真を撮ってもらう。
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二人とも世界を周遊していて、この後もまだ中国を巡るようだ。
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楽しい2人であった。またどこかで会えたら。

ブログはこちら。
リサさん→ http://risacosfantasticlife.blogspot.jp/ (9/26現在引っ越し中 )
マルコさん → http://voyageravecmoi.com/ (フランス語)

ラルンガルゴンパを離れ成都へ

▼放浪209日目 2014/7/4(金)
朝6時、いよいよラルンガルゴンパを離れるため町を下る。
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この場所を知ったのはかれこれ8か月前。
私の旅の始まりで、香港のドミトリーで会ったベテランの旅人2人に教えて貰ったのがきっかけだ。
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当初は東チベットなんか途方も無い場所で、雲を掴むようなイメージだった。
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8か月目にして実際にたどり着くことが出来た。
山奥の標高の高い、物凄い場所にある事もわかった。
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暖かでシャイなチベット僧たちと触れ合う事も出来た。
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チベット僧の人達は結婚をしないらしい。異性に触れてはならないとか。
宗教に捧げる人生とは、一体どんなものなのだろうか。
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ラルンガルゴンパはこれまでの旅で一番感動出来たと言えるだろう。
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少し後ろ髪を引かれながら、私は朝7時に成都行きの乗合タクシー(300元)に乗り込み、濃密なラルンガルゴンパの旅を終えた。

東チベット編 完

コメント一覧

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  1. 突然のメールにて、大変失礼致します。編集プロダクションに所属しております稲葉と申します。
    ただいま弊社では、「秘境国」「存在が謎の国」「不思議な風習、祭り」などのテーマに沿って、世界中の国々を写真とともに紹介する書籍を制作中です。
    同書の中で、「チベットの鳥葬」について取り上げるのですが、お写真をご提供頂けませんでしょうかと思いご連絡差し上げました。ブログに掲載されている、ハゲワシのお写真を中心にお願いさせて頂けると大変ありがたいです。
    突然のご連絡、大変失礼致しました。
    ご検討のほどどぞよろしくお願い申し上げます。

    稲葉拝

    • 稲葉さん。ご連絡頂きましてありがとうございます。
      詳しい内容については以下のメールアドレスにご連絡頂きまして、回答させて頂きたいと思います。
      よろしくお願い致します。まずは以下の内容のご連絡をお願い致します。
      kenzuiii@hotmail.com

      —必要情報—
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      以上よろしくお願い致します。