KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

【ヌクス観光】消滅した湖「アラル海・船の墓場」の行き方と最果ての村

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約6分


世界放浪2年の中盤で訪れた、中央アジア・ウズベキスタン。

その西の果てに「船の墓場」と呼ばれる場所があるらしい。
かつてアラル海という美しい湖があったが、環境破壊により干上がり、船だけが残されてしまった。

本記事は船の墓場の近い街「ヌクス」から、船の墓場のある「ムイナク」へ日帰りでの行き方と、
観光情報を載せた旅行記である。

※ウズベキスタン全体の観光・費用などのまとめは、以下の記事を参照されたい。
👉【ウズベキスタン旅行】一人旅の観光まとめ・21日間の費用や物価、治安情報など

本記事は2014年9月に旅をした情報を元に作成されています。

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サマルカンドからウルゲンチへ

▼放浪284目 2014/9/17(水)
青の都サマルカンドの観光を終えた私は、宿から2時間程歩いて鉄道駅に着いた。
夜22時。駅はひっそりと静まり返っている。
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駅までの暗い道を1人で歩いてきたので、治安を心配していたが一先ず問題はなかった。
構内も怪しそうな人物はいない。
しかし、何もなさそうな場所に犯罪は突如として起こる。
何が起こるかわからない時間帯で、若干緊張しながら鞄を守るように抱えベンチで電車を待った。
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出発の時間になり列車に乗り込むと、暗闇の車内には沢山の乗客が寝息を立てていた。
私は2段ベッドの下段に荷物をしまい、渡されたシーツと枕カバーを敷くと、固いベッドの上にどかりと体を横たえた。

向かいに寝ていたスキンヘッドの男は、目をつむっている私にお構いなしに話し掛けてきた。
疲れていたので適当に返し「もう寝るから」と、早々に会話を切り上げて眠りについた。

ウルゲンチ行きの寝台列車

▼放浪285目 2014/9/18(木)
朝、窓から差し込む光で目が覚めた。
不意に自分が今どこに居るのか、起きた瞬間わからなくなる時がある。
5秒程考えて、ああそうだ移動中の列車の中だ、と理解する。
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スキンヘッドの男は相変わらず話しかけてくる。
どっからきた?どこへいく?結婚はしてるか?子供はいるか?パスポートみせて?
まあ、どうやら悪いやつでは無いようだ。
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前夜から12時間程走っただろうか、昼過ぎにウズベキスタンの西の街「ウルゲンチ」に到着した。

※地図上は車道のルートになっていますが、実際は鉄道ルートです

ウルゲンチからヌクスへ

ここから、シェアタクシーを使って更に移動する。
今回の目的地「ヌクス」へ。料金20,000スム(約760円)

ヌクスの安宿「ジペク・ジョリ(Jipek-Joli)」

ヌクスへ到着した時には、既に夕暮れが迫ってきていた為、この日は観光はせずに宿へ直行した。
宿泊した宿は、「ジペク・ジョリ(Jipek-Joli)」。

ここもウズベキスタンの田舎にして、とても設備が整っていた。
中庭が広く、私はここでパソコンを広げて大いに寛がせて貰った。
そして他の客が誰も居ない。
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この中庭にはユルタ(ゲル)が建てられていて、私はそこに泊まっていた。
一泊15ドル。Wifi有。トイレバス清潔。申し分ない。おすすめの宿である。
※宿情報と予約はこちら→「Hotel Jipek Joli(Booking.com)
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ヌクスから船の墓場への行き方

▼放浪286目 2014/9/19(金)
このヌクスへ来た理由は、ここから更に北のアラル海にある「船の墓場」を見る為だった。
ムイナクという街が拠点で、ここからかなり遠かったが日帰りでなんとか観光したいと思っていた。
帰りのバスの便を考えると、かなりタイトなスケジュールが予想された。

 

[ 午前8時50分 ]
セントラルマーケット近くのバスターミナルに着き、ムイナク行きのバスへ乗り込んだ。片道9000スム(342円)。
バスはローカルの人ばかりで観光客は誰一人居なかった。
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ムイナク到着

[ 午後12時 ]
約3時間程でムイナクの街に到着した。

時間が無いので早歩きでメイン通りを北へ行き20分程、ミュージアムを見学する。
アラル海の歴史や文化が展示してあった。入場料5000スム(190円)。客は私1人。
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ここで映像フィルムを見れたらしいが、私は時間が無い事を理由に見なかった。
後で聞くと良いものだったらしい。
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[ 午後1時15分 ]
街の中心へ戻り、小さなお店で昼食のプロフ(焼飯)を食べる。
8000スム(304円)。
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[ 午後1時40分 ]
タクシーの運転手と船の墓場までの運賃を交渉し、往復で10000スム(380円)で手を打った。
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船の墓場到着

[ 午後1時50分 ]
想像以上に早く、10分程で船の墓場に到着した。
これなら歩いても行けたかもしれないが、時間に余裕が無いのでベストな選択だ。

高台からかつて湖があった風景を見渡すと、置き去りにされた船の数々を観る事が出来た。
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良く見ると遠くに観光客の姿が見えた。この辺りではほとんど見かけなかったので少し嬉しい。
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ここは旧ソ連が行った政策で、綿花の栽培にアラル海の水を大量に利用した結果、ほとんどの水が干上がってしまった。
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かつては漁業が盛んで船が行き交い、魚が多く、鳥が飛び回り、雨が降り、中央アジアのオアシスと呼ばれていたらしい。
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20世紀最大の環境破壊と呼ばれ、何も無い土地になってしまった。
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漫画、「乙嫁語り」は中央アジアが舞台になっていて、アラル海で漁をしているシーンが登場する。
文化や風習を丁寧に描いた素晴らしい漫画なので、おすすめしたい。

最果ての村のようなムイナクの街並み

[ 午後3時 ]
約1時間程船の墓場を観光し、待たせていたタクシー運転手と街の中心に戻った。
船の墓場も見応えはあったが、私はこのムイナクの街の雰囲気が好きだった。
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寂れた中に、哀愁のようなものが漂った街だ。
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「来いとは言わない。来たい人だけ来ればいい。」と言っているような。
まるで世界の果てにある村にきてしまったような。
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寂れてはいるものの、人々の暖かな笑顔に触れる事も出来た。
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ここで一泊しても良かったかな、と思いつつヌクスの街へ戻る事にした。
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ムイナクからヌクスへ戻る

[ 午後5時40分 ]
ムイナクから約3時間。無事にヌクスへ戻る事が出来た。
着いて早々、ドライバーが写真を撮ってくれと言うのでこれに応じる。
ウズベキスタンの人達はとても人懐っこくて好きだ。
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いや正確に言うとヌクスは、ウズベキスタの中にある国、カラカルパクスタン共和国なのではあるが・・・。
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今日の観光は少し忙しく、疲れてしまった。ヌクスへ戻りほっとした。
やはり田舎ののんびりとした雰囲気は良い。
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宿に戻り、今日でヌクスの観光を終えた。
船の墓場はあまり大したことはないと思っていたが、廃墟や朽ち果てた建造物系が好きな私には、
なかなかワクワクとして見応えがあり、楽しむ事が出来た。
もし余裕があるならば、足を運んでみても損はないだろう。

明日はウズベキスタン最後の街、ヒヴァへ移動する。
私はウズベキスタンの中でこの街が一番好きになるのであった。
つづく

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コメント一覧

  • Comments ( 2 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. Kenjiさん、はじめまして。
    ほぼ同じ時期にウズベキスタンに滞在していました。
    懐かしいです!
    アラル海の町ヌクスは私も行きたかったところなので、Kenjiさんのブログで拝見できてとても嬉しいです。
    カラカルパクスタンやブハラのエコセンターに行くつもりだったのですが、どちらも入ることができなかったのが心残りです。
    どうぞよい旅を♪

    • lalalunaさん、はじめまして!
      コメント頂きましてありがとうございます!
      同じ時期にウズベキスタンにいらしていたのですね。

      ヌクスもそんな良くなかったよと評判を聞いていたのですが、迷いながら実際行ってみるととても良かったです。
      ブハラは時間の関係で行けなくて僕も心残りでした。
      ウズベキスタンのイメージなんて全然無かったのですが、人が優しくてとても大好きな国になりました。
      また行きたい国です!

      ありがとうございます!これからも頑張って旅を続けていきます!

      ケンジ