KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

【イラン旅行記】家に招かれたゴルガーンの教師、バンダレトルキャマンの親切な女性たち

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約5分

▼放浪297目 2014/9/30(火)
午後14時。
イランにはじめて降り立った聖地マシュハドから、ゴルガーンへ移動する。

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森のゴルガーンへ

トルクメニスタンの国境で出会ったテニスプレイヤーの若者が「ゴルガーンが良いよ。あそこは森が綺麗なのさ。」と言ったのをきっかけに訪れてみた。なんか名前が良い。
 

マシュハドからゴルガーンは思ったより距離があり、バスで到着したのは深夜0時。
沢山乗客が居る中私だけバスを降り、放り出されるような形でポツンと街の中に残されてしまった。

人通りの無い、街灯がポツポツとあるロータリーのような場所でキョロキョロしていると、
草むらに座っていた男が話しかけてきた。
はじめ警戒したが、タクシーの運転手だった。

ゴルガーンの安宿「Hotel Pars」

歩くのは危険と感じ、タクシーでホテルまで案内してもらった。90000リエル(約330円)。
安宿の「Hotel Pars」へチェックイン。
シングルルームで、一泊350000リエル(約1300円)。Wifiなし。
雰囲気は暗くて、夜はお化けが出そうな部屋だったが、
受付の人は親切で、それなりに清潔に保たれていて申し分ない。

値段は少し高いが、イランでは平均的な安宿の価格だろう。
場所は中心のロータリーに近いこのあたり。

 

▼放浪298目 2014/10/01(水)
ゴルガーンは美しい森があるとの事で来てみたが、
森は街の中心から離れていて車が無いと厳しいらしく、もう面倒で行くのをやめることにした。
代わりに街を散歩した。

通りには人が多くて車通りも激しい。
経済的に発展している印象を受けた。
ブラブラと歩いていると、道行く人々や食堂のおじさん、
そのお客さん達などが、次々と話しかけてくる。

教師の家へお邪魔した

ある時、50代くらいの小柄な男性に声をかけられた。
どこから来たのか、どこへ行くのかなど、定形の会話をしていると、このバスに一緒に乗りなさいと手招きをしてきた。
どうやら彼のマイホームへ招待してくれるらしい。
見知らぬ人の家へ行くのもどうかと思ったが、流れに身を任せるようについていく事にした。

※ちなみにこんな事はイランだから許される事で、他国では決して行わない。
 

バスを降りて10分程歩くと、大きな門の前にたどり着いた。
脇の小さな扉から敷地に入ると、駐車スペースに車が停められていて、
奥には白い二階建ての立派な家があった。
手前に階段があり、上った先に玄関があった。

お邪魔しますと玄関をくぐると、広いリビング、大きなソファ、大きなテレビ。
料理をしながらリビングを見渡せる、オシャレで洗練されたキッチンが見えた。

すごい豪邸ではないか。

温和な笑顔で迎えてくれたホサイニーさんは、ゴルガーンで教師をしているらしい。
そして奥さんの手料理をごちそうになった。
ホサイニーさんは誇らしげに「妻の手料理が一番美味しいよ。」と言っていた。
実はご飯を食べたばかりで既におなか一杯であったが、
言う通り、頂いたナスとトマトのシチューはとろけるような旨さがあった。
家族の暖かな愛情を感じる。

イランの事を良く知らなかったが、想像以上に豊かな国なのだと感じた。
 

ご飯を食べた後、気が付くとふかふかのソファの上でウトウトしてしまった。
リラックスしすぎてしまったようだ。
暗くなる前に帰ろうと席を立つと、息子さんが車で安宿まで送ってくれるとの事。
こんなにも親切にしてくれるとは、なんてありがたいことだろうか。
これがイランか。

「これが噂に名高い、イランのホスピタリティーか!」と私は叫んだ。
その節は大変お世話になりました。ホサイニーさん一家。

 

ゴルガーンからバンダレ・トルキャマンへ

▼放浪299日目 2014/10/02(木)
朝9時半。
ゴルガーンを一泊で終えた私は、バンダレ・トルキャマンという街へ移動した。バス代10000リエル(40円)。
ここはカスピ海の近い街で、ついでに海でも見てみようかと訪れたのだ。

親切な女性達と観光

バスを降りて、大きな荷物を抱えながらウロウロとしていると、
何かお困りですか?と二人組の女性に話しかけられた。

私はカスピ海が見たい旨を伝えると、二人はタクシーを捕まえてくれて、
一緒に乗り込んだと思うと、タクシー代を支払い、その後カスピ海や周辺のマーケットまで案内してくれてしまった。
「出た!イランのホスピタリティー!」と声高に私は叫んだ。

カスピ海そのものは、天気の影響もあって、それほど綺麗なものではなかったが、
案内してくれた大学生の二人と写真を撮ったり、(写真は紛失したカメラの中で消息不明。)
一緒にご飯を食べたり、お菓子を食べたり。
その時間はとても楽しいものであった。
 

別れ際に女性の一人が、身に着けていた黒いブレスレットを私にくれた。
「ヘイリーマムヌーン!(どうもありがとう!)」
礼を言って、私は握手を求め手を差し伸べると、彼女は身をよじるようにして握手を避けた。
宗教上、男性と触れることを許されていないようだ。

私は知らなかったとは言え、なんとも恥ずかしい気持ちになり、
「ホダハフェス!(さようなら!)」
と叫び、顔をほんのり桜色にしながらバスへ駆け込んだ。

ああ・・これがイランの文化なのだねと思いながら、
バスは私を乗せて首都テヘランへと走って行った。

つづく

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