KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

イラン・チェルゲド(Chelgerd)・賢者の書と夜中追いかける野犬

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約6分

▼放浪305日目 2014/10/08(水)
エスファハーンで何となくの観光を終えた私は(※前回の記事→【放浪304~305日目】世界の半分がエスファハーン)、テヘランで出会った日本人青年、通称のび太さんと山奥の秘境サラグハセイエド(sar Agha sayyed)へ向かう。
ここには観光地化されていない、独特の形をした村があるらしいのだ。

 

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エスファハーンからチェルゲドへ

午前9時。
エスファハーンの市内バス乗り場のザイヤンデルーテルミナルから、西バスターミナルへ。(バス代 5000リエル)
西バスターミナルから、シャフレコールドへ1時間。(バス代 3万5千リエル)
シャフレコールドからファルサンという小さな町まで30分。(バス代 1万リエル)
更にファルサンからバスを乗り継いで1時間半。(バス代 2万リエル)
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4度のバスを乗り換えて、14時半頃チェルゲドに到着した。

ここから目的地のサラグハセイエドまで行きたいと住人に聞くと、今日のバスはもう無いらしい。
仕方なくここチェルゲドで一泊することになった。

チェルゲドの宿

街の外れにあるホテルにチェックインをした。
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ツインルームを値切って一人32万5千リエル(約1140円)。
部屋は清潔で申し分無い。

wifiは無いと言われたが電波は出ていて、適当にパスワード(1~9)を入れたら接続することが出来る。
レストラン兼ホテル従業員の青年がとても感じが良かった。
場所は街の中心から東に位置する。

 

ホテルに荷物を置き、併設のレストランで食事を済ませると、
特にやることも無いので、のび太さんと近くの小高い山を登る事にした。

山はなかなかの急斜面で、道中の鋭い棘のある草に刺さりながら進まねばならなかった。
ある程度上ると、草の無い岩のゴツゴツとした地質に変わり、
1時間程かかっただろうか、山の頂上にたどり着きチェルゲドの街を一望することができた。
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街には2~3件のホテルと、数件のレストランと小売店があるくらいで、
あとは住宅が広がる小さな街だ。
やはり皆気さくに声をかけてくれ、人はとても良い。

 

のび太さん(岩井 伸太郎)という男

ぼんやりと街を眺めていると、のび太さんが気持ちよさそうに太鼓を叩き出した。
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彼は以前の街でも、バドミントンのラケットを買っていた。
旅をする上で決して必須では無いアイテムを持ち歩く。私には真似出来ないなと思う。
ギターやけん玉、スケボーなどを持っている旅人を見たが、
こういうちょっとした小物が、旅に彩りを与えてくれるのだろう。
 

そんなのび太さんは大学を休学して旅をしており、色々な目的を持って旅をしていた。
わらしべ長者の企画もその一つで、最初のビニール袋から様々な物を交換をしてグレードアップさせていた。
私と出会った時には蚊取り線香を持っていて、何かと交換して欲しいと持ちかけられたが、
かなりかさばる程の大きさだった為、残念ながら今回はお断りした。(参照:本文末※1)

他にも旅人インタビューのような企画で、好きな女優やアイドルを集計したり、
「この先の大切にしたい言葉」の企画では、音楽、影響を受けた本などの情報を集めてはフェイスブック上に公開していた。(参照:本文末※2)

 

また、私が影響を受けた本に「賢者の書」を上げると、
のび太さんも著者・喜多川泰さんのファンのようで、意気投合した。
この本のある一文に私はとても影響を受けていた。
 

「人生の中で最も多く投げかける相手は他人ではなく自分自身であり、
その自分自身に投げる言葉を一番大切にしなければならない。」
 

原文とは違うがこのような内容が書かれていて、当時の私は自分の体中の血液が入れ替わったような衝撃を受けたのだ。
「どうせ何をやっても駄目だ。」「なんて糞みたいな人生だ!」「キモイ、おれ、キモイ!」
などと、軽々しく自分の心の中で発していた悪口が、実は心を疲弊させていたのだ。
心で発する言葉こそ、一番大切にしなければいけない。

マイナス思考に支配されていた原因が、ここに合ったのだ!と魂で理解出来たような瞬間だった。
そんな喜多川泰さん著、「賢者の書」オススメです。

 

話を旅に戻す。

頂上の景色を満喫した私たちは、帰りは違うルートで街へ戻ろうと下山をはじめた。
しかし街の方向を目指しながら下山をはじめるも、時に断崖に阻まれ、迂回をすると今度は急斜面や棘の草に阻まれてしまう。
段々と日が沈み始めると、果たして宿に戻れるだろうかという不安と焦りがではじめてきた。
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のび太さんは怪我したのか足を引きづっている。
iPhone5の小さな明かりを頼りに斜面を下り、気付くと辺りは真っ暗になってしまった。
街はまだ遠い・・・。

暗闇から追ってくる野犬

フラフラになりながらようやく山の麓につくと、闇の彼方で犬の吠える声が聞こえてきた。
しかも群れのようで、沢山いるようだ。
遥か彼方と思っていたその声は、歩くにつれて段々と大きくなってきていた。

 「これ・・俺らに吠えてるんじゃないよね?」

 のび太さん「・・・ケンジさん、走ってきてますよ!」

真っ暗な左手の斜面から、推定4匹程の犬が吠えながらこちらに向かってきた。
私は後ろを振り返り、真っ暗な道を全力で駆けた。

 

夢中で走ると恐らく彼らが守るテリトリーから外れたのか犬の声は遠く消えていった。
危なかった。
ベトナムやカンボジア、タイでかなりの野犬に吠えられ、追いかけまわされた経験から私は犬が苦手になっていた。

狂犬病の予防注射をしているとはいえ、噛まれたら24時間以内に病院へは行かなければならない。
噛まれた箇所からウィルスが脳に到達し、発症すると錯乱状態になり死に至るらしい。(※MASTERキートン 第二巻

街へ戻り小さなサンドイッチ屋でご飯を済ませ、無事に宿へ戻れた事に感謝。
今宵はぐっすりと深い眠りについた。

明日はようやく、目的地のサラグハセイエドへ移動する。

つづく

★参考リンク:のび太さんの活動
※1 「わらしべ長者」
※2 「この先の人生で大切にしたい言葉」

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