KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

オレの理想郷「廃材エコヴィレッジゆるゆる」訪問記

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約6分


2017年クリスマス。
神奈川県相模原市藤野にある、「廃材エコヴィレッジゆるゆる」を訪れた。
古い倉庫をリノベーションして、一見すると要塞のように見える迫力の建築群。
内部には、長さや質感がバラバラの板が貼られた壁に、中世ヨーロッパの豪奢な椅子や、日本的な木彫りの龍が飾られた異世界の空間。

高機能コンポストトイレ、ソーラー発電、屋上緑化、無農薬農園など、環境に優しい循環型のシステムも取り入れている。
浪漫が詰まった一泊二日の様子を書いてみた。

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芸術とエコの街・藤野

訪れた「藤野」とは一体どういう町なのか。
調べてみると「芸術」「シュタイナー教育」「パーマカルチャー」というキーワードが出てきた。

30年前にアーティストを誘致していた歴史があり、芸術の町として広がった。
その後1996年にパーマカルチャーセンターが設立。2004年にシュタイナー学園が移転すると、地球環境に配慮した人々や、教育熱心な家族が移住してきた。現在も移住者が多く住む町だ。

藤野駅近くから相模川を望む

廃材エコビレッジゆるゆる

藤野駅からヒッチハイクで20分ほど。
綱子(つなご)という限界集落に「ゆるゆる」はあった。
外観は要塞のような雰囲気があり、すごい迫力である。

藤野に住みはじめて十数年。画家で万華鏡作家で村長の傍島 飛龍さんが迎え入れてくれた。
廃材エコヴィレッジゆるゆるは廃工場を300万円で購入して、2013年からはじまったプロジェクト。

後ろにあるバーカウンターも横にある椅子も廃品・廃材から出来ている。

廃材と廃品で出来た内装が素晴らしい。
扉を開けてすぐ右手には豪華なヨーロッパ調の椅子。鹿の剥製。木彫りの龍が飾られている。
ジャンルはバラバラなのに、調和がとれているのが不思議だ。
ここは音楽ステージや、映画の上映会にもなる。


右手奥には、手作りのロケットストーブが鎮座している。

ロケットストーブと奥の座敷の下は配管で繋がっていて、ストーブの熱を取り込み床暖房のように暖かい。
薪も廃材がたくさんあるので燃料代も無料である。画期的だ。

このロケットストーブの作り方は、ドゥーパ!2017年12月号に掲載されている。


バーの裏はキッチンになっている。
流し台をよく見ると金たらいを加工したものだ。
水は山から引いていて無料である。

野菜の切れ端などは、キッチン裏にあるミミズコンポストへ入れられる。
冬の寒い時期は大人しいが、夏は元気に食べてくれるらしい。


建物の奥は長い通路のような作りで両脇が小部屋になっている。
商店街や横丁のような場所にしたいと飛龍さん。

石造りの部屋や、応接室のような部屋。上階にあるファミコン部屋などは完成しているように見える。
全体的には工事中であるが、2018年にはこのエリアを完成させたいとのこと。


内部の案内を終え、外へ出た。
2016年に完成した、このコンポストトイレには感動した。
右の扉は男性用トイレ。左側が男女兼用トイレ。

靴を脱いで蓋を開けて、用を足した後にオガクズを中へ入れる。
オガクズが水分を吸着し、微生物が分解してくれる。

下のタンクを定期的に取り替える。
これが小さすぎると頻繁な取替えで手間となり、大きすぎると重くて持ち運びが困難になる。
6リットルくらいが丁度良いらしい。

冬の時期というのもあるが、匂いがまったくしなかった。
タンクの横に配管が設置してあり、太陽の熱を利用して自然に換気する仕組みになっている。これは感動だ。


今回は入らなかったが、手作りの五右衛門風呂がある。タイルがおしゃれだ。

屋根の上へは簡単に登れる。屋上緑化が美しい。

更に上の屋根にはソーラーパネルが設置してある。これも産業廃棄物。

ソーラーパネルは階下にあるバッテリー(廃品だった)と繋がっている。
予備電力として東電と契約しているが、今後は電気の完全自給を目指しているとのこと。


食事の時間になり歩いて数分の「ゆるゆる農園」へ。

すべて無農薬有機栽培で作られている。
畑は時間をかけられていないと事だが、にんじんや大根、葉物など沢山収穫した。
この日の夜はこれらの野菜を鍋にして、美味しく頂いた。

翌朝は余ったご飯と野菜でおじやを食べた。素材が良いので美味い。これぞ豊かさでは無いか。

万華鏡作家でもある飛龍さん

画家で活動していた飛龍さんは、万華鏡作家でもある。
骨董品のような雰囲気で、インテリアとして万華鏡としても使えるのが面白い。とても欲しい。



龍夢万華鏡工房

刺激的な日々「ゆるゆる」を振り返る

という事で、廃材エコヴィレッジゆるゆるを紹介してきました。
環境に配慮したエコシステムとか、DIYの凄さとか、お金を掛けない暮らしとか、自分のやりたいと思える事が詰まった素晴らしい場所でした。

しかしそれを飛び越えて刺激的だったのは、飛龍さんの生き方です。
暮らしが遊び」になっていて、そこに「アート」や「エコ」が混じっていて、
それを見て面白がる人が自然と集まり「コミュニティ」が出来て。
何よりも、それを飛龍さんが楽しみながらやっているという事です。
自分自身が楽しんでやる事が一番なのだと教わりました。

「ゆるゆる」は僕がやりたいなと思う理想郷のイメージを固めてくれた場所でした。
真似したい事が沢山です。嗚呼ワクワクが止まらない。

以上、「廃材エコヴィレッジゆるゆる」訪問記でした!
ご拝読ありがとうございました!


「廃材エコヴィレッジ ゆるゆる」への行き方

電車で行く
東京駅から藤野駅まで1時間15分


バスと徒歩で行く
1. 藤野駅→やまなみ温泉(やまなみ温泉行) 時刻表
2. やまなみ温泉→綱子入口(東野行)時刻表
3. 徒歩で30分(1.4km)


バスと徒歩で行く
1. 藤野駅→やまなみ温泉(やまなみ温泉行) 時刻表
2. やまなみ温泉→綱子入口(東野行)時刻表
3. 徒歩で30分(1.4km)


場所:〒252-0186 神奈川県相模原市緑区緑区牧野10049

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