世界放浪2年の旅の中盤。
空港で3時間拘束された末にイスラエルへ入国した私は、聖地エルサレムを訪れた。
キリスト教・イスラム教・ユダヤ教の聖地であり、観光地としても賑わいながら、パレスチナ問題などを複雑に抱えた街をブラブラと観光してみた。
・本記事は、2015年3月に旅した情報を元に作成しています
イスラエルへ行くきっかけ
旅をする前「イスラエル」とはどんな国なのか、どこにあるのかも知らなかった。
映画「シンドラーのリスト」でアウシュビッツ収容所を知り、数ヶ月前にヨーロッパ周遊時に近くを通り、訪れた事があった。
→参考「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所 見学ツアーへ」
アウシュビッツ収容所はナチスドイツによりユダヤ人らを強制的に集め大量殺戮(ホロコースト)が行われた場所。
ここで生々しいほどの空気を肌で感じた私は、ユダヤ人と関連の深いイスラエルに興味が湧き、いつか行ってみたいと思っていた国だった。
エルサレムの観光・嘆きの壁
エルサレムで多くの観光客が訪れる「嘆きの壁」。
西暦70年にローマ帝国によって破壊されたエルサレム神殿。その壁だけが現在も残っていて、祈りを捧げに多くのユダヤ教信者や観光客が訪れる。
壁の向こうには、黄金に輝く「岩のドーム」がある。
ローマ帝国によって破壊されたエルサレム神殿の跡地に、イスラム教徒が建てたもの。
ユダヤ教の聖地と、イスラム教の聖地が目と鼻の先にある。
壁の敷地は無料で入る事が出来るが、入り口で白い帽子「キッパ」を被る事が義務付けられている。
頭上に神がいることを表し、神へ対しての謙遜の意思を表す意味がある。
私もこれを頭に乗せて入場した。
超正統派の目を引く人々
エルサレムで目を引くのが、黒いスーツを着てハットを被った人々。
「超正統派(ハレーディー)」と呼ばれている。
長い”もみあげ”も特徴的である。
旧約聖書にもみあげの場所が大事であると書かれていることから、生まれてから一度も切らない。
腕に革紐を巻いた人々
超正統派の人の中には、頭に革製の箱を乗せ腕に黒い革紐を巻いている人を見た。一体何なのか。
「テフィリン」と呼ばれ、頭の聖句箱(聖句の書かれた羊皮紙を納めた小箱)と腕に巻かれた革紐がセットになっている。
胴体、右腕と左腕を3本の柱とし生命の樹を表している。
ユダヤ人が祈る日常の風景は、自分の生きてきた日常とあまりにもかけ離れていて、とても新鮮に映り1日に何度もここを訪れて写真を撮った。
日常で触れ合う事の無かった「宗教」
という事で、三つの宗教の聖地であるエルサレムを訪れた。
こんなに宗教にまみれたのははじめての事だ。
私は30年以上東京で住み、これまで宗教と触れ合う機会は無かった。
道でよく見る「神と和解せよ」の看板や、近所の救世軍でバザーをやっていた事を思い出すくらい。
あとはテレビ報道で見る新興宗教の事件だろうか。
ところが、旅へ出ると皆なんらかの宗教を信仰しているのが当たり前の世界で、
「怪しい」「怖い」と思っていた宗教がどんどん身近になって行くのを感じた。
特に印象深いのが、中央アジアや中東で出会った、イスラム教徒の人々。
彼らは真面目さと優しさで溢れていた。
旅をしていくうちに私は彼らに親しみを持ち、とても好きになったのだ。
また現在(2018年1月)、日本に住んでいるシェアメイトと管理人がクリスチャンで、
彼らもまた底なしの優しさを湛えている。いや「愛」に溢れていると言うべきか。
この優しさの源は、信仰心の賜物では無いかと感じている。
争い合う「宗教」
一方で、宗教が原因で争いが絶えないのがとても悲しい。
3千年前にエルサレム神殿は元々ユダヤ教の聖地で、ローマ帝国により破壊されて以降、イスラム教の聖地が作られた。
近代になりイスラム教の聖地だった場所にユダヤ人がイスラエル国家を造り、追い出されたアラブ人と対立し、イギリスやアメリカが軍事介入して石油の利権・宗教・歴史が絡みあい、長い間混迷を極めている。
*パレスチナ問題はこの絵本が解りやすいです→絵本で解るパレスチナ問題
仏教もキリスト教もイスラム教もユダヤ教の人々も、一人一人は優しい人々なのに、なぜ争いあうのだろうか。
調べても学びのとっかかりがわからず、書きながら混乱してきたので、入りやすい映画を見て勉強し直そうと思う。
お読み頂いている皆さん。宗教やパレスチナ関連の映画でオススメの作品あれば教えてください。
まずは十字軍とエルサレムを題材にした映画「キングダム・オブ・ヘブン」を見てみよう。