KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

香港から広州、広州から桂林へ、移動の日々

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約4分

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香港から広州へ

▼放浪7日目 2013/12/14(土)
香港のエネルギー溢れる喧騒に後ろ髪を引かれながら、
香港と中国の国境である、「深圳」に降り立った。

次の街広州へ行くため、列を成した自動切符売り場に並んだ。
漢字だらけの自動販売機は、5分ほど操作したがどうしても買う事が出来ない。
横を見ると何やらカードを入れている。どうやら中国の身分証が必要のようであった。

近くの係員に聞くと、どうも英語が通じない。
香港のゲートを出たと思ったら、いきなり英語が使えなくなった。
紙に書いて説明すると、広州への切符はここで買えるのは間違いないらしい。
しかし身分証を持っていない事を伝えられない。

ふと遠くで同じように苦慮している白人がいたので様子をみていると、現地人に身振り手振りで指示を受けていた。
どうやら荷物検査ゲートの向うに窓口で購入できる場所があるようで、私もそれに習い無事に切符を購入する事ができた。
切符だけでえらく神経を使ってしまった。
序盤からハードな旅になりそうだ。

 

広州から桂林へ

▼放浪8日目 2013/12/15(日)
広州のホステルで一泊した翌朝、冷たい雨に打たれながら桂林行きの切符を買おうと駅まで歩いた。

私は事前の調べで、広州から桂林への寝台列車がありそれで行きたいと思っていた。
寝台列車に旅の風情があるような気がして、わくわくしたのだ。

駅の窓口で書いて示したところ、160元(¥2,720)で行けるとの事。想像より安い。
購入した切符を見ると、「広州→西桂林」となっていた。
「西桂林」でなくて、普通の桂林に行きたいのだが・・・。西じゃない。

係員の人に聞いた。
『この切符は「桂林」に行くんだよね?桂林(グゥワンリィン)だよね?』
3人くらいに聞いたら、そうだ。という返事であった。

駄目でも桂林には違いないし、ひとまずいいか、と、18時発の時間まで待つ事にした。

出発まであと6時間ある。
外は雨。
寒い。

駅の外は新宿のそれと変わらない街並み。
観光する意欲の湧かなかった私は、駅の広い待合室で座り、時間過ごすことにした。

待合室でふと気づいたのが、これはバスの乗り場だったことだ。
ずっと列車へ乗るつもりが、バスチケットを買っていた。
寝台列車に乗りたかったが、まあいいか。

盗まれないようにカバンを体に密着させる。
眠り、本を読み、お菓子を買い、音楽を聴き、人波をぼんやり見る。

ふと、自分は一人なのだという寂しさがこみ上げる。
香港では日本人宿があり、話が出来る人がいたし、英語も通じる。
しかし、いま自分は意志疎通が困難な異国にいて、Wifiも通じない、一人で何かあったら何も出来ない。
天涯孤独なのではないか、という恐ろしさを感じたのであった。

18時になりバスに乗ろうと並んでいると、前の人達がビニール袋を取り出し、靴を脱ぎ始めていた。
そう、なんとこれは寝台バスであった!
寝台列車に乗れなかったが、寝台バスに乗れる!
車内は足が伸ばせて、清潔な枕と毛布がついていて、
狭いながらもなかなか快適な空間であった。

私はこれぞ旅の醍醐味である!と悦に浸りながら、約8時間の移動を味わった。

桂林到着

▼放浪9日目 2013/12/16(月)

「着いたぞ」

中国語でそう起こされたようで目が覚めた。
周りの乗客はほぼ降りていて、自分だけ取り残された状態であった。
急いで荷物をまとめバスを降りてみると、外は雨で寒く時計を見ると深夜2時半であった。
「こんな時間にほっぽり出されるのかよっ!」とつぶやいた。

googleマップを見ると、たしかに桂林の中心街についていた。
「西」の桂林ではなかったようだ。(ッホ)

雨宿りしながら、とまるところを探していると、
オッサンが声をかけてきた。

かたことの中国語でホテルを探している事を伝えると、一泊8元(136円)であるよ、と言っていたので「OK!」と二つ返事でついて行った。

「いいおっさんやなー。」

道路を挟んだ向かいにすぐホテルはあった。

欠伸をしながら眠たそうに起きてきたおばちゃんが受付をしてくれた。
実際は80元だった。聞き間違えたのだ。
八十(パーシィー)元(グェン)だったのだ。
日本円で1360円だし、いいか。とそこに泊まることにした。

一人部屋の個室は久しぶりだったので、ゆっくりと足を延ばし
その日は眠りに着いた。

つづく

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