KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

カンボジアの負の遺産、キリングフィールドとトゥールスレン

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約4分

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シェムリアップからプノンペンへ

▼2014/1/14(火)

朝8時、2週間ほどお世話になった宿「クロマーヤマトゲストハウス」とお別れだ。
コストパフォーマンスや漫画の豊富さ、人の良さなど今まで一番好きな宿だったかもしれない。
プノンペン行きのピックアップの車に乗る時、宿で出会った友達が見送ってくれた。
ありがたい。
 

バスに乗り込み、しばらくするとモニターに香港映画「プロジェクトA」が映し出されていた。ああ、懐かしい。ジャッキーは大好きだった。
吹き替えがクメール語で意味はわからないが、コメディの要素が強いのでカンボジアの人は皆大笑いしていた。私も笑った。
笑いは世界共通なのだ。ああ、ジャッキー位髪を伸ばしたい。
 

バスは食堂のような場所に止まった。
バスの脇の地べたに迷彩服を着た片足の無い50代くらいの男が座っていた。
帽子を器にしてお金を要求しているようであった。

バスの中からしばらく見ていると、かなりの人数がお金を入れている。
欧米人や現地のカンボジアの人など、1分間に3人は入れている様子だ。

戦争で足を無くしたのか、地雷で足を無くしたのかはわからないが、自分が同じ立場になった時にどうするだろうか。
炎天下の土埃が舞う地面で、物乞いが出来るだろうか。

カンボジアで産まれ同じ環境や状況になれば、その選択肢しか無いのかもしれない。
私は物乞いを見てもお金を渡さない選択をしていたが、今回は渡す選択をしてみる事にした。

バスを降りて500リエルを老人の帽子に入れた。
老人は目を合わせる事無く、下を向いたまま頭を下げて礼を言った。
 

良い事をしたという気持ちも、哀れに思う気持ちも、特に何も思う事は無かった。
私の想像力が足りないのだろうか。その人への思い入れが無いからだろうか。
または血も涙もないのか。
皆どういう気持ちでお金を差し出すのであろうか。

 

前回泊まったホテル、「NICE GUEST HOUSE」がとても良かったのでまた泊まろうと思ったが、11ドルのシングルしか空き部屋が無かった。
いままで2ドルの宿だったので、11ドルはとても高く感じ、隣の「キャピタルゲストハウス」へ移動した。シングルで4ドルである。
トイレとシャワーは共用であるが、そこに決めた。

シャワーは水しか出ない。実はいままでの宿は運よく全てホットシャワーが出ていた。
はじめての水で浴びるシャワーは、始めは冷たくてもそのうち慣れるものだった。

 

キリングフィールドへ

▼2014/1/15(水)
翌日、自転車を3ドルでレンタルし1時間程かけてキリングフィールドへ行った。
ポルポト政権下で大量虐殺が行われた場所だ。
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日本語の音声ガイドがついていた。
場所ごとに数字付きの看板があり、機械の数字を押すとその説明が流れるという具合だ。
説明は丁寧でわかりやすく、ここで何が行われたのか当時の関わった人達の肉声を含めて聞くことが出来た。
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音声を全て聞きながら敷地内を回っていると1時間半はかかるだろうか。
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敷地内は自然に溢れ、犬が戯れ、鳥の鳴き声が聞こえ心地よい風が吹くこの場所で、
大虐殺が行われていたとは思えぬほど静かな場所であった。
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キリングフィールドで起こった出来事や、関わった人達を考えながら宿へ戻った。

 

トゥール・スレンへ

▼2014/1/16(木)
宿から歩いて10分程にある、トゥール・スレン へ行った。
政治犯収容所とされていたが処刑場となっていたようで、一度入ったら生きて出てこれない場所だったそうだ。
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建物は当時のそのままの状態ではないかと思わせるほど生々しく、床の染みや血痕のようなものまでも至る所に残っていた。
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恐ろしい事が行われていたという事が、空気や匂い、肌で感じるような場所であった。
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私は2つの施設を観光して、はじめてカンボジアの歴史に触れたような気がした。
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カンボジアの人達は穏やかで優しい。それに笑顔が素敵だ。
辛い出来事を乗り越えて痛みを知っているから優しいのだろうか。
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もっとカンボジアについて知ってみたいと思いはじめていた。
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クラチエへ

▼2014/1/17(金)
朝8時、プノンペンのバスステーションにてクラチエ行きのバスへ乗り込んだ。

プノンペンからクラチエは、ソリヤというバス会社から11ドルでチケットを購入した。
バスの座席には白人が多く目立ち、アジア人は誰も居ない。

8時間程揺られ、クラチエに着いた。
そこはメコン川が美しく輝き、のんびりとした街だった。
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つづく

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