KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

キルギス・アラアルチャ国立公園のトレッキングで遭難しかけて凍えてしまう

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約7分

▼放浪237日目 2014/8/1(金)
今日はアラアルチャ国立公園へトレッキングに出掛ける日。
ウズベキスタンのVISA待ちで一週間動けず、久しぶりの遠出だった。

同じ宿に居る、リュータロー君、さやちゃん、しょうさんグループは、一週間くらいかけて「チョンキミン」という秘境へ行くらしい。自分も一緒に行きたかったが、イランVISAの連絡待ちの関係で断念した。

彼らはキルギスの軍隊に銃口を突きつけられたり、雨に追いかけられたり、色々あったそうな。
詳しくはリュータロー君のブログを参照されたい→ 【たびろぐ】8/1の記事

 

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アラアルチャ国立公園の行き方

別れを惜しみつつ、みんなで一緒にSAKURAゲストハウスを出てそれぞれ違うバスへ乗り込み、私は213番のマルシェでオシュバザールの乗合所へ向かった。
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オシュバザールに着き、南東に位置する乗り場から265番のマルシェで、アラアルチャ国立公園へ向かう。
大体このあたり。わからない場合は人に聞けば教えてくれる。
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アラアルチャ国立公園の入場ゲート到着

マルシェで一時間くらいだろうか、アラアルチャの第1ゲートに着いた。
天気もよく絶好の登山日和だ。
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この第一ゲートで入場料を支払い、中へ進むと、もう雄大な山々と空が広がっていた。
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ここから更に先に第2ゲートがあり、10キロ程歩いて行く事にした。
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美しき景色を眺めながら、のんびりと歩いた。
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山へ登る手前で体力が無くなる

歩いていると腰と肩がジンジンと痛くなってきた。
もう、なんか歩けない。

近くにある岩に腰を掛けて休憩をすると眠気も襲ってきてしまい、気づいたら眠ってしまっていた。
そんな事を30分間隔で繰り返し、どんどん時間が経っていった。
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今回の登山の為に、2、3日分の食料を買い込んでいたのだが、
缶詰4個、瓶入りのピクルス、パンに付けて食べる瓶入りチョコクリームなど、やたらと重量のあるものばかりをカバンに詰め込んでいた。
山頂で食べたら絶対美味しいだろうという思惑があり、沢山買い込んだのが失敗だった。
まだ山に登る前からヘトヘトになってしまったのだ。

そしてこの眠気は、軽い高山病にかかっているのだろう。
キルギス自体が標高が高く、山に登る前でも既に2000mを超えているのだ。

眠い目を擦りながら、お昼休憩でパンとチーズを食べる。
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3時間くらい歩いただろうか、後ろから来る同じ方向へ行くの車に乗せて貰い、運よく第二ゲートまで運んで貰った。

 

山の手前の第2ゲート到着

ここにはホテルがあり、泊まる事も出来る。
たしか一泊3000円くらいだっただろうか。もちろん値段が高いので泊まらない。
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この先からいよいよ、登山になる。
最終目的はウチテルピークという山頂だった。
その途中にはキャンプ場や山小屋があるらしく、1日目はそこを目指すことにした。
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美しい山々の景色

麓にあるホテルから林道を少し歩くと山道があり、そこを10分程登ると空が開けてきた。
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山々が壮大になり、景色が一気に変わってくる。
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山と川と青空。一番好きなやつだ。
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それにしても荷物が異常に重い。「ああ、ああ・・・」と声が漏れる。
そして歩きながらもずっと眠気が襲ってくる。
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しかし景色は絶景だ。
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途中すれ違うハイカーにも数名出会った。
みな下山をしている人達だったが、これから登る人は一人もいない。
時刻は16時を過ぎている。出発するのが遅すぎたかもしれない。
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沈みゆく太陽

麓のホテルで買った地図は印刷が滲んでいて、縮尺が小さく現在地さえもわからず、ほとんど使い物にならなかった。
そこでオフラインで地図を見れる携帯アプリ「MAPS.ME」を見ながら方向を決めていた。
方向的には川沿いを行けばキャンプ場に着けるようなので進んでみる事にした。
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大きな岩山をよじ登り、時にはジャンプで飛び越えながら進むが、その先にキャンプ場への道は存在しなかった。
転がった岩と切り立った崖と、美しい川に阻まれてしまった。

順路は恐らく左手の崖の上だろうと、30分かかった道を戻る事にした。
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何度岩につまずいただろうか。何度尻餅をついただろうか。
ようやく順路を見つけて後ろを振り返ると、太陽が山に隠れはじめてきていた。
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もう今日中にはキャンプ場に着けない。どこかで野宿するしかないと腹を決めつつも先へ進む事にした。
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あそこを超えればキャンプ場があるはずと歩いたが辿り着かない。
19時過ぎには日が沈みあたりは真っ暗になってしまった。
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キャンプ場に着かず野宿を決意

ライトを取り出し進むが足場が悪く視界も限られていてこれ以上は危ないと感じ、寝る場所を探す事にした。
丁度すぐ側に、大きく平らな岩場を見つけカバンを下ろした。
靴を脱ぎ、父から貰った寝袋カバー(雨除けなので保温性が無い)をかぶり、固い岩の上で目をつぶる。

あたりは静かで、弱い風の音と遠くに流れる川音がかすかに聞こえるくらいだった。
昼間は汗をかく程だったのに、夜になると急に冷えてきて震えが止まらなかった。

硬く冷たい岩の上で、出来るだけ体温を奪われないように体を丸め、
岩場の形に態勢を合わせながら寝やすい位置を見つけて、なんとか眠りにつくことが出来た。

 
▼放浪238日目 2014/8/2(土)
ふと目覚めると深夜2時。寒さで深く眠れない。

眠りが浅いからか何度も夢を見る。
日本での暮らしが遠い昔のような気がしてきた。
昨日寝ていたフカフカのベッドが懐かしい。

また目が覚める。
もう夜があけただろうと寝袋を開けると、まだ辺りは暗く時間は深夜4時だった。
よく見ると空は満点の星空だった。
カメラで撮ろうと試みたがレンズが不調で撮ることが出来なかった。

それより寒い。
これでもし風が吹いていたら、凍えていただろう。
明るくなるまで待とうと、また寝袋カバーに潜り込み目を閉じた。

次に目覚めると、辺りが明るくなっていた。
ようやく朝がきた。
よかった、生きている。

起きて寝る場所を確かめると、なかなか凄い所に寝ていたものだ。
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上を見上げると雪が見える。寒い訳だ。
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退くも勇気

仕度を整えて、さあ目的地であるキャンプ場へ進むぞと歩きだすと、フラフラして足がおぼつかない。

岩を乗り越えようと足に力をいれるが、小さな砂利と石にずるりと足を取られ踏ん張る事が出来ない。
同時にバックパックの重みで体ごと前のめりに倒れてしまう。
うまく体に力が入らない。

何度目かの転倒で頭の中から声がした。
「退くも勇気だ!」
もののけ姫の主人公、アシタカの声だった。

山を舐めていましたごめんなさいとアシタカヒコに謝り、私は踵を返し下山する事にした。
下り始めると、体が段々と軽くなり余裕が出て景色も楽しめるようになってきた。
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途中で何人かのハイカーとすれ違う事もあった。
やはり午前中に登り始めるのがベストのようだ。
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お昼前にはスタート地点の第1ゲートに辿り着いた。
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通りすがりの車に声を掛けられ近くの町まで運んで貰い、そこからビシュケクの宿までタクシーで帰宅した。200スム(約390円)。

 

安息の地「サクラゲストハウス」

やっと宿に戻る事が出来た。
SAKURAゲストハウスのフカフカで清潔なベッドに体を預け、その幸せを噛みしめながら眠りに落ちた。
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アラアルチャ。
振り返ると、もし雨や風に見舞われていたら、凍えていたかもしれない。
噂ではオオカミも出るという。かみ殺されていた可能性もあったのだろうか。

本当に山を舐めてはいけない。
ルートを決め、計画を立てて、しっかりと調べ、荷物を軽くして行くべきだったと反省をした。

もう一時間くらい頑張ればキャンプ場に辿り着いたらしい。
結局目的地には辿り着けなかったが、心身共に満ち満ちた登山であった。
辛かったけど楽しかった。

山とは不思議な魅力があるものだ。
次こそは山頂へ行けるように準備を整えよう。

「次」がいつになるかはわからないが・・・。

つづく

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コメント一覧

  • Comments ( 2 )
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  1. これは相当心細いかっただろうね・・

    • >ようますさん!
      でも一日だけだったし。半分は楽しんでる自分も居たから、平気でした!