クルド人の街・ケルマンシャー
▼放浪317日目 2014/10/20(日)
夜行バスで到着したケルマンシャーは、出発したアフヴァーズから比べると一気に寒くなった。
雨も降っていて、震える程である。バックパックから急いで上着を取りだした。
ここケルマンシャーはイラン西部の街で、クルド人が多く住む地域。
地図上で見るとイラクが近い。これは大丈夫か。
重いバックパックを担ぎながら、街を歩く人々に宿はどこか尋ね歩く。
人々は親切で、丁寧に道を教えてくれる。
ケルマンシャーの安宿・「アッデルジャッデ」
数人に聞いてたどり着いたのは、街の中心にある「アッデルジャッデ」という安宿だった。
地元の商店が行き交う路地の奥、普通では気づかないであろう場所にあった。
古い建物ではあるが、どっしりとした受付があり、2階建てで中庭を囲むように部屋が並んでいた。
1泊20万リエル(約700円)程と、1000円を超える事が当たり前のイランにおいて激安と言えた。
別途シャワーを使う時は3万リエル(100円程)を支払う。wifi無。
部屋はシンプルなベッドと小さな窓があるだけの簡素なもの。
床には菓子の食べカスが落ち、枕は父の頭皮の匂いがする。
匂いと共に幼い頃の記憶が蘇った。懐かしい・・・。
イランビザ延長申請
イランVISAの延長申請へ警察署へ向かう。
以前の街シーラーズとアフヴァーズでは却下されたが、ここケルマンシャーで受理する事が出来た。
申請料30万リエル(約1050円)。別途ファイル代2.5万リエル(約87円)がかかる。
これであと一か月位はイランに滞在出来るはずだ。
ケルマンシャー観光 ターゲ・ボスターン遺跡へ
▼放浪318日目 2014/10/21(月)
最近の自分にしては珍しく、ケルマンシャー周辺の観光をする事にした。
ローカルバスで町の中心から北にある、ターゲ・ボスターンという遺跡を見に行く。
入場料15万リエル(約520円)。
ケルマンシャー観光 ビーソトゥーン
続いて、ローカルバスを乗り継ぎ、ビーソトゥーンへ。
アケメネス朝の戦勝記念碑のレリーフが残っているらしい。
結構な崖を登ると上の方にレリーフらしきものが見えた。
どうやら工事中のようで上まで登れないらしい。
視力の悪い私は、iPhoneのカメラズーム機能を使いようやく認識できるかという感じだった。
・・・まあ、こんなもんだろう、と帰ろうとすると女学生の団体さんとすれ違った。
皆がチラチラとこちらを見ては、クスクスと笑うので、サラーム!と声をかけた。
すると皆がワイワイと話しかけてきてくれ、写真も撮らせてくれた。
イランの女性は美しい。
よくわからない遺跡よりも女学生との交流を楽しんだ私は、ヒッチハイクをして街へ戻る。
すぐに車は止まり、運転手はお金はいらないよと言ってくれたが、降りる時に10万リエル(約350円程)を要求された。
イランは優しい人が多く、今回も無料で乗れるかな、と浅はかな考えをした自分が嫌になった。
腹が空いて夕方に入ったレストランで、同じテーブルに居合わせたジーパンちゃん(9歳)と、ホレシュテ・ゲイメ・ヤズディー(レンズ豆のシチュー)を食べた。
写真撮っていい?と聞くと、ご飯を口に含んだまま決め顔をしてくれた。
とても可愛らしい。
イランの若者集団に囲まれる
この町を歩いていると、多くの視線を感じる。街の人々全員が自分を見ているような感覚だ。
どこか有名人にでもなったような気分さえあった。
だが実際はすれ違い様にヒソヒソと「チン、チン!」「チャイナ、チャイナ!」と、小馬鹿にしたような声が聞こえる。
それが5分に1度くらいのペースにあって、一つ一つ注意していると精神が摩耗してくる。
イライラを通り越した私は、逆に先手を打ち、笑顔で積極的に挨拶する戦法へ切り替えた。
「サラーム!」「サラーム!」
その積極的な挨拶から会話が生まれる事が多くなり、夜の帰り路には若者5人くらいに囲まれる事になる。
彼らは楽しそうに私の写真を撮りまくり、じゃあ逆に俺も撮っていいかな?と、携帯を取り出すと、「NO!NO!」と拒絶されてしまった。
「はあ!?チェラー!?チェラー!?(何で?何で!?)」
と大きな声で叫ぶと、どんどん人が集まってきて10人くらいに囲まれてしまった。
身の危険を感じた私は、無理やり会話を切り上げて、早歩きでその集団から抜けた。
足早に歩いていると私の歩調に合わせて、紳士的なおじさんが話しかけてきた。
「You, emergency…」
ひ、非常事態?どういう事か。
いや、そうか、危なかったから気をつけろとアドバイスをくれたか。
たしかに、囲まれたのは危なかった。しかも夜に。
アドバイスありがとう、紳士おじさん。
事前に聞いた話と異なる印象のクルド人街
クルド人街は良い人が多く、ご飯を御馳走してくれたり、家に泊めてくれたり、毎日ほとんどお金を使わなくていいくらいのホスピタリティーの溢れる街だ。と、途中で出会った旅人は言っていた。
しかし実際は、確かに良い人も多いが、無礼な人も多く、疲れる街であった。
良い人半分、嫌な人半分。どっこいどっこいと行ったところだ。
事前の期待が大きすぎたのかもしれない。
とはいえ、何事もなく宿に辿り着けた事に感謝しつつ、この日は眠りについた。
明日はハマダーンという街へ移動する。
つづく