東ヨーロッパに位置するブルガリア共和国。
特に目的もなく過ごしていた宿で、誘われたUFOツアー。
そこで見た衝撃的な景色は、旅に飽きていたこの時の私の目を覚まさせるものであった。
本記事は、そんな様子を写真と共に綴った旅行記です。
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ブルガリアの田舎町に滞在
▼放浪343日目 2014/11/15(土)
ブルガリアの北東部に位置する古い都「ヴェリコタルノヴォ」。
風情のある街並みは、長い旅の疲れを癒してくれるようで、私はのんびりとこの街に滞在していた。
居心地の良い宿、Hostel Mostelの共有スペースで優雅にブログを書いていると、韓国系ハワイ人のマックスが何やら騒いでいる。受付スタッフのダイアナとパソコンの画面を見てテンションが上がっている様子だった。
私は気にせずそのままブログを書いていると、マックスが話しかけてきた。
「へい!明日のUFOツアーに一緒に行かないか?」
ん?UFO?なんだそれは。いくらB級やオカルト好きの私でもそんな訳の分からないツアーには興味無い。渡されたチラシにツアーの写真を見たが、荒い画像のよくわからない写真が載っていただけだった。
受付のダイアナに、なんなのこれ?良いの?と聞くと、彼女は親指を立て眩しい笑顔で答えた。
「ベリーグッドよ!」
そうか。ダイアナがそこまで言うなら。
時間もあるし流れに任せるのもありかなと、ツアー料金40レフ(約2900円)を支払い、明日のUFOツアーに参加する事になった。
UFOツアー出発
▼放浪344日目 2014/11/16(月)
朝、ニュージーランド人ガイドのアンディが迎えにくると、私を含めて総勢7人で車に乗り込んだ。
しばらく走ると、風光明媚な村に連れていかれた。
何かと思えば、ブルガリアの昔ながらの家や生活を見れるテーマパークのような村だった。(※興味が湧かず詳細は割愛)
1時間程観光し、村を出発した車は山奥へと進んで行く。
舗装路を外れ山道に入ると、車体がガタガタと揺れ始めた。不意にお尻が飛びあがるくらいの山道を走る。
ガイドの運転手はわざと荒い道を選んで車を揺らし、客を楽しませよう(怖がらせよう)としている節があった。
どこかの山の頂上に着いたのか、車が止まり皆が降りた。
周辺は濃い霧に包まれ視界が悪く、真っ白で何があるのかさっぱりだった。
ガイドの後をついていくと、石作りの聖火を象ったような大きなモニュメントが霧の中から姿を現した。
ついにUFOか!?これなのか!
写真を撮りながら10分程経っただろうか、ガイドの号令で皆が車に戻った。
ここはUFOスポットでは無いようだった。
車は次の場所へ走りだした。
次もどうせUFOなんか見れやしないだろう。そう思っていると、すぐに車が停車した。
山の上に現れた巨大建造物
車を降りると相変わらず濃い霧で視界が悪い。
それでも時折、強い風に押し流されて晴れ間が見えることがあった。
そして大きな霧の塊が過ぎ去った瞬間、巨大なシルエットが姿を現した。
すぐに霧で真っ白になって見えなくなった。と思いきやまた現れた。
嗚呼、まさにUFO!!ここに間違いない。ついに!UFO!発見だっ!!
興奮を抑え、正面のUFOを仰ぎ見ながら階段を上がると、鉄格子で閉ざされ正面ロビーが現れた。
門の上には赤い文字で「NEVER FORGET YOUR PAST」と書かれていた。
「決して過去を忘れるな」という意味だろうか。一体過去に何があったのだ。
両端にもキリル文字のブルガリア語で何か書かれている。が、解読不能だ。
UFO内部へ潜入
ガイドの後について行きUFOの側面へ移動する。そこには人ひとりが入るのがやっとの隙間が空いていた。
何の冗談かとも思ったが、これが入口らしい。
皆が次々に体をねじ込むようにしてUFOの中へ侵入していった。こんなと所入って良いものか、と思いつつも私もそれに続く。
穴の周りには剥き出しの鉄筋やら瓦礫やらが突き出ていて、慎重に体を入れないと怪我をしそうだった。
こんな危険なツアーは日本では有り得ないだろうな、と思いつつ私のウキウキは止まらなかった。
建物の内部は暗かったが、外から漏れる光を頼りに先へ進めそうだ。
上へ続く階段を上ると、そこには光に包まれた美しい世界があった。
美しい廃墟・旧共産党ホール
朽ちた天井に空いた無数の隙間から、太陽の光が放射状に差し込み、SF映画の中に入ってしまったような幻想的な空間が広がっていた。
上空からUFOが襲来してきたようだ。いや、もはや私はUFOの中だった!
この美しい廃墟は「バズルジャ(Buzludzha)」と呼ばれ、1981年に作られブルガリア共産党本部として使われていた場所だった。
1989年の東欧革命で共産党が解散。以降、誰も使わなくなり廃墟と化してしまった。
かつてはレストランや宿泊施設などがあり賑っていたそうだが、もはやその面影はない。
しばらくすると光の演出は消え、ただのぼんやりとした空間になってしまった。
周辺を探索するといくつかの部屋があり、メインホールを囲むように通路が二重になって存在していた。
外側の通路には、ガラスが抜け落ちた大きな窓枠が続いていた。晴れていればきっと眺めが良かっただろう。
共産党ホールのタワーへ
メインホールを離れ真っ暗な階段を下ると、今度は上へ登る梯子が現れた。
ツアーで貸し出されたヘッドライトを使い、とにかく梯子を上る。
いつ終わるとも知れなかった梯子を上りきると、ようやく頂上らしき場所にたどりついた。
ここからの眺めは素晴らしく、周辺には雲海が広がっていた。
眼下を見ながら、嗚呼我々はずっと雲の中に居たのだな、と理解した。
気付くと、皆がヒョイヒョイと鉄柵の上に乗っている。見ているこちらが肝を冷やしてしまう。
私も負けまいとおっかなびっくり鉄柵の上に乗った。絶景だが怖い。怖いが、絶景だ。
マックスはギリギリまで身を乗り出して写真を撮っていて、危ないから本当にやめてくれと思う。
しかし、この美しい雲海の前では、身を乗り出す気持ちもわからないでもない。
一通り景色を楽しみ下へ降りると、辺りはまたしても濃い霧に包まれていた。
霧の空を見上げると高い塔がそびえ立っていた。さっきはこの上から雲海を見たのか。
UFOツアーを振り返って
私は日本に居た時に少しだけ廃墟巡りをした事があり、世界各地の廃墟も精通しているつもりであった。
しかし、ここは全くのノーマークであった訳だが、偶然に訪れた町の何となく参加したツアーが、超ドストライクだったのには驚きだ。
大きな規模の廃墟であればあるほど、その土地や建物の栄枯盛衰を感じられる。
廃墟にはそこだけ時が止まったような、独特の時間が流れている。
バズルジャ。素晴らしい廃墟であった。
ここはきっと廃墟の神様(?)が巡りあわせてくれたのだろう。
こういった、予期しない素晴らしい偶然の出会いがあるので旅は面白い。
ありがとう、さらばバズルジャ。
UFOツアーの旅、おしまい。
ラピュタだ! なんかラピュタだ!
雲の上にある廃墟!!
たしかに!ラピュタ!でも僕は宇宙を感じた!2001年宇宙の旅!見たことないけどね!