KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

冬のサンティアゴ巡礼[14〜15日目]44キロ歩いて見た世界の果て

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約6分


世界放浪2年間の旅で最も心を熱くさせてくれた、スペイン巡礼31日間の旅の記録14〜15日目です。
今後巡礼する人や興味がある人へ向けて、もう一度脳内で旅をしたい自分の為に、情報を記録しています。

サンティアゴ巡礼ってなんなの?という人は、以下の記事をはじめにご覧くださいませ。
スペイン巡礼31日間!絶景・友情・感動の780キロを超えたサンティアゴ巡礼の費用と絶対に行くべき5つの理由
冬のスペイン巡礼-準備編・旅に必要な持ち物や情報

・本記事は、2015年1月~2月に旅した情報を元に作成しています

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サンティアゴ巡礼14日目の朝

▼放浪410日目 2015/1/21(水)
「カストロヘリス(Castrojeriz)」から「カリオン・デ・ロスコンデス(Carrión de los Condes)」への44キロ。この巡礼の旅で最長の距離を歩く。死ぬ。

朝8時。広大な平野を歩くと高い丘があった。
坂を登る最中に振り返ると、素晴らしい眺望を見下ろす事が出来た。

丘の頂上にたどり着くと、歩いてきた方角から真っ赤な朝日が昇り幻想的な景色を見せてくれた。しばし呆然と眺める。

これから進む西への道が赤く染まっている。現実感が無い。

なんだか世界の果てまで来てしまったような気分になる。あの向こうで地球が終わるようだ。

丘を下ってからは、起伏の少ないなだらかな道がまた永遠と続く。
歩いていてとても気持ちの良い場所だ。

お昼ごろ、ボアディージャ・デル・カミーノ(Boadilla del Camino)に到着。
体が軽く調子が良い。ここまで18キロを歩く事が出来た。

右手に川を眺めながら並木道を歩く。景色が素晴らしいと足取りも軽い。

荒野の続いた台地が終わり、水辺の多い景色を見る事が多くなってきた。癒される。

16時過ぎ。ビリャルメンテロ・デ・カンボスに到着した。34キロ地点。
体調が良いとはいえ足はボロボロで、ベンチで休憩する回数が増えてくる。あと10キロ。

だんだんと日が傾いてきた。西日が赤く染まる。

もうすぐ着く、もうすぐ着くと思いながら、あと7キロ・・6キロ・・5キロ・・・と指折り数えて歩く。

18時過ぎ。日が沈み暗くなりかけの時刻に「カリオン・デ・ロスコンデス(Carrión de los Condes)」に到着した。

宿には巡礼の初日に出会った韓国人のミンちゃんとMSや、日本人のキャッツが待ってくれている。
彼らとは事前に連絡をしていてこの宿に居ると知り、頑張って会いに行こう!という勢いで今日は44キロ歩いた。

巡礼宿は狭い部屋に2段ベッドが詰め込まれたような場所が多いが、今回の宿はシングルベッドのみ。広々としていてとても快適である。
そんな部屋に、ぼろぼろでフラフラの死んだような顔で入ると、みんなは爆笑して迎えてくれた。
44キロを歩いた僕らの健闘を讃えてくれた。今日は本当に痛みに耐えよく頑張った。

同じ相部屋の巡礼者にコックさんがいて、その人がパエリアを振舞ってくれた。しかも無料で!

海鮮の出汁の効いたご飯は、間違いなく美味しかった。疲れた体に染み渡るようだ。
コックさん曰く「火力が強ければもっとうまく出来たんだ!」との事だが、十分美味しかった。コックさんありがとう。

久しぶりの仲間達との再会で、とても楽しい時間を過ごす事が出来た。
しかも1日に44キロという最高の距離を歩いたのは、自分のなかでとても大きい出来事だ。
多分明日、全然歩けない事が予想されるが、致し方無い。
今日も眠るとしよう。

巡礼14日目データ
歩行距離・・・・・・44キロ(残り408.2キロ、累積372.3キロ)
使ったお金・・・・・31.96ユーロ(宿8ユーロ、食20.53ユーロ、観光3.5ユーロ)

サンティアゴ巡礼15日目の朝

▼放浪411日目 2015/1/22(木)
朝、やはり痛みの走る足を引きづりながら、近くのスーパーで朝食とお昼を購入する。

Photo by cats

天気は最高だが、痛みと疲れがすぐにマックスになり全然歩く事が出来ない。

ペースの遅い私はいつも置いていかれてしまう。みんなもっとゆっくり歩いて欲しい。

Photo by cats

良い場所にベンチを見つけて、お昼休憩にする。
ベンチがあるというだけで、休憩時に荷物を降ろす時と背負う時の負担が全然違う。
巡礼者にとってとても重要なスポットだ。

食事を済ませ、これぞ「道」という気持ちの良い景色を歩く。こういう道が大好きだ。

何度も何度も休憩しなければ歩けない。とても辛い。

15時半頃。もう疲れたので「カルサディージャ・デラ・クエサ(Calzadilla de la Cueza)」で一泊することにした。

この宿で韓国人の若い青年と出会った。
「20キロ以上のデカイ荷物を背負って歩いているのは君か!」と嬉しそうに話しかけてくれた。
どうやら、先へ行く巡礼者達に私の事が噂で流れているようだったのだ。
自分の事が轟いているという事実に、なんだかとても気分がいい。

10ユーロを支払い、宿が提供してくれた旨い飯を平らげた。
巡礼中のご飯は本当に旨い。幸せだ。

今日は足に痛みがありながら、23キロも歩く事が出来た。
朝の歩き始めが痛いだけで、体が暖まってくると痛みも和らぐようだ。

気がつけばこの巡礼路も390キロを歩き、折り返し地点に差し掛かる。
まだ更に倍の距離を歩くと想像すると卒倒しそうだが、毎日毎日積み重ねて歩くのみである。

今日はゆっくり体を休める事が出来た。
シャワーを浴び、暖かい寝袋に入り1日を終えた。

巡礼15日目データ
歩行距離・・・・・・23キロ(残り391キロ、累積389.5キロ)
使ったお金・・・・・17ユーロ(宿7ユーロ、食10ユーロ)

つづく

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