KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

冬のサンティアゴ巡礼[25〜27日目]猛烈過酷なセブレイロ峠

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約6分


世界放浪2年間の旅で最も心を熱くさせてくれた、スペイン巡礼31日間の旅の記録25〜27日目です。
今後巡礼する人や興味がある人へ向けて、そしてもう一度脳内で旅をしたい自分の為に情報を記録しています。

サンティアゴ巡礼ってなんなの?という人は、以下の記事をはじめにご覧くださいませ。
スペイン巡礼31日間!絶景・友情・感動の780キロを超えたサンティアゴ巡礼の費用と絶対に行くべき5つの理由
冬のスペイン巡礼-準備編・旅に必要な持ち物や情報

・本記事は、2015年1月~2月に旅した情報を元に作成しています

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サンティアゴ巡礼25日目の朝

▼放浪421日目 2015/2/1(日)
毎日の身体の疲れと、肩や足の激しい痛みにも慣れ始めてきたこの巡礼も気づけば後半戦。
あと160キロを残すのみとなった。

そして今日は、スペイン巡礼最後の難所、オ・セブレイロ峠を越える日。
目標の街トリアカステラまでは35キロ。標高差800M。
痛みのある体に追い打ちをかけるような行程である。

朝8時。ルイテランののんびりした宿を出て、皆で歩き始めた。
空からは雪が降り、とにかく寒さが身にしみる。

オ・セブレイロ峠の上り坂が容赦なく続く。段々と雪深くなってきた。
こんなに雪深い景色ははじめてだったので、なんだか楽しい気持ちになってきた。体はとてもきついが。

街を出てから2時間。木々が無くなり見晴らしが良くなってきた。峠の上に出たのだろうか。
雪景色がとても眩しく美しい。

さっきまで車が通った跡だけは土が見えていたのに、もはや全て雪に埋もれてしまった。
そして雪は足首から、膝まで深くなっていった。

横殴りの吹雪のせいで前を歩く仲間達を見失ってしまった。
この方向があっているのか、そもそもここは道の上なのかもわからない。
「オレ、遭難してないよな?」という、緊張感が増してきた。

辛うじて地面に残る足跡と、霧の向こうにかすかに見え隠れする人を目指して歩く。
ふと子供達の声がしたと思うと、家族連れて遊んでいる人影が見えた。
ようやくセブレイロ(Cebreiro)の街に辿り着いたようでほっと一安心である。

標高1300Mに位置するこの街は、賑やかな雰囲気があった。
さっきまで孤独で一人歩いていたのに、夢でも見ているような気分だ。

この街でバラバラになっていた仲間達と再会し、共に昼食を済ませた。
小休憩をしてまた出発する。まだまだ先は長い。

セブレイロの街を出てからは、ずっと下りの道が続いていた。
背中の荷物を引き締めて足を踏ん張りながら進むので痛みが出る。

歩くスピードは早いのでグングン進んでいる感覚があるが、体はきつい。

夕方18時。暗くなる直前にトリアカステラに到着した。
今日はあまりに距離があったので、一部の巡礼仲間は途中の村で一泊したようだった。

積もった雪と吹雪の中で、難所と言われた「オ・セブレイロ峠」を越える事が出来た。
距離や標高・気候条件を見ると、この巡礼の中で一番過酷な日だったかもしれない。

もう何も考える事ができない。寝袋に入ると意識を失うように眠りについた。

巡礼25日目データ
歩行距離・・・・・・30.3キロ(残り135.4キロ、累積645.1キロ)
使ったお金・・・・・20.4ユーロ(宿9ユーロ、食10ユーロ、カフェ1.4ユーロ)

サンティアゴ巡礼26日目の朝

▼放浪422日目 2015/2/2(月)
昨日の35キロが体全体に響き渡る。
まだ休んでいたい寝ていたいという気持ちを押しのけて出発の準備をする。
今日はトリアカステラからサリア(Saria)までの21キロ。

昨日の疲労が残ったまま、下を向いてただ歩く。写真を撮る気力も無く。もう何も考えられない。

17時頃、サリアに到着した。
ここで道中一緒に旅をしたミッキーさんがスケジュールの関係で帰国した。
彼はかつて巡礼を歩いた経験者であり、しかもスペイン語が出来るので、現地人とのコミュニケーションや旅のアドバイスの面でとても頼りにさせて貰った。数年後、日本で再会出来てよかった。さらばミッキーさん。

ご飯も食べ終わり、最優先で行うべきは体を休める事。
お酒好きのパーティピーポー達を無視して、泥のように眠り1日を終えた。

巡礼26日目データ
歩行距離・・・・・・30.3キロ(残り135.4キロ、累積645.1キロ)
使ったお金・・・・・19.1ユーロ(宿6ユーロ、食11.7ユーロ、カフェ1.4ユーロ)

サンティアゴ巡礼27日目の朝

▼放浪423日目 2015/2/3(火)
今日はサリアからポルトマリンへの21キロ。
このサリアからサンティアゴまでが約100キロほどで、最短で巡礼を楽しみたい人はこの街から始める。
冬の巡礼は人が少ないのだが、この街から少しずつ多くなってくる。

スペインの西側のガルシア地方は雨が多く、ここ最近は憂鬱な気分だ。
時々晴れ間が見える時にカメラを取り出しては景色を撮る。そしてまた降り出してカバンに入れるの繰り返しである。

16時頃。ポルトマリンの街が見えてきた。
大きな川にかかる橋が印象的な街である。ものすごい強風で体が煽られる程で、恐怖を感じる。

宿泊した宿(Albergue Público De Portomarín)がとても素晴らしかった。
大部屋に余裕のスペースに配置されたベッドや広いキッチンで存外にリラックスさせて貰った。

出店:alberguescaminosantiago.com

最近は巡礼仲間達と歩く事が多くなり、明日はどの街へどの宿へ泊まるか調べるのを人任せにしてしまう事が多い。
あまり頼りっきりは自分のために良く無いと思いつつ・・・でもまあいいか、と甘えて眠りについた。
あと3日〜4日でゴールだろうか。明日も頑張ろう。

巡礼27日目データ
歩行距離・・・・・・21.6キロ(残り92.3キロ、累積688.2キロ)
使ったお金・・・・・19.1ユーロ(宿6ユーロ、食11.7ユーロ、カフェ3.4ユーロ、洗濯4.4ユーロ)

つづく

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