KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

ブラショヴの歯抜けシンナー中毒老婆とドラキュラ城観光

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約6分

世界放浪2年の旅の序盤、東欧を旅していた私はルーマニアの「ブラショヴ」を訪れた。

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治安の悪いブカレストの鉄道駅

▼放浪352日目 2014/11/24(月)
朝、辛気臭いブカレストの宿をチェックアウトすると、空からは霙(みぞれ)混じりの雨が降っていた。
寒さと雨で心も沈んでいくようだ。

次の街ブラショヴへ移動するため、治安が悪いと評判の鉄道駅へ向かった。
確かに雰囲気が悪く、近寄り難い場所だった。

階段に座るボロボロの服を着た男。
腕を組みギラギラした目で睨みつけてくる男。
酒を飲み大声を出して騒いでいる集団。

私はそれらをチラリと横目で見ながら、下を向きまっすぐに駅舎の中へ入っていった。
駅舎の中は割と落ち着いた雰囲気だったが、油断してはならない。あたりを警戒しつつも列車に乗り込んだ。
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車内は割と清潔で安全そうに見える。しかしここでも強盗だったりスリが発生しているらしい。警戒を怠ってはならない。荷物を体に密着させて席に座る。
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ブカレストの鉄道駅を10時に出発し、12時40分ブラショヴに到着した。運賃50レイ(約1600円)。
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ブラショヴ観光

この町も雨が降っていたのか、空は曇り地面は黒く濡れている。ヨーロッパの冬は常にこんな感じのようだ。
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観光地であるブラショヴの街は、暗いブカレストに比べると華やかな印象を与えてくれた。
可愛らしいレストランや、飾りつけされた家々を見ると、何となく気持ちも上がってくるようだ。
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街の中心地らしき広場の雰囲気も良い。
レストランには観光客が楽しそうに食事をし、大学が近いので学生の姿も見かける。
明るいエネルギーを感じられるようだ。
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すぐ横にあった観光スポット「黒の教会」へ行ったが、扉は閉まっていて中へ入ることは出来なかった。
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1689年にハブスブルク軍の攻撃で外壁が黒くなった事から、そのまま黒の教会と呼ばれるようになったらしい。
重厚で歴史を感じる建物である。
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レストランを探してキョロキョロしていると、女学生3人集団が「どこへ行くのですか?」と声を掛けてくれ、わざわざ案内をしてくれた。
優しい人々。嗚呼、現地の人々と交流が出来てうれしい。
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街はずれの小高い丘を登ることにした。
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丘の上からの街並みもそれなりに美しい。
ブラシェフ。なかなか良い街ではないか。と思いながら日暮れ前に宿に戻った。
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宿泊した宿は「Kismet Dao Hostel」。一泊38レイ(約1200円)。Wifi、朝食付き。
清潔感もあり部屋も広くゆとりがある。Wifiも早かった。(ちなみに東欧は比較的Wifiが早い事で知られています。)
すごく良いという訳ではないが、不満はない宿であった。
宿情報と予約はこちら→Bookin.com

ブラショヴ観光・ドラキュラ城

▼放浪353日目 2014/11/25(火)
宿で出会った、日本人のマグノリアとコロンビア人のカミーロで、ブラン城へ出掛ける事にした。
街の中心からローカルバスで約45分、麓の村に到着した。運賃往復14レイ(約450円)
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そして、この日珍しく青空が見えた日であった。天気が良いだけで、気分も上がるようだ。
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入城料25レイ(約800円)を支払い、中へ入る。
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この城は吸血鬼ドラキュラのモデルとなった、ヴラド・ツェペシュ3世が居た場所であるらしかった。
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ドラキュラ伯爵の住まいと聞いて、廃墟のような館を想像してワクワクしていたが、普通の小奇麗な豪邸があるだけであった。
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どの部屋を見ても、何の感慨も無い。ダークファンタジーを求めていたのに。
この城についての語るべき言葉は見つからなんだ。
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もうやることねえなぁ。と街へ戻り、ぶらぶらと歩きはじめた。
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ブラショヴ観光・シンナーババア

お日柄も良く、鼻歌交じりで歩いていると、前方で陽気な女性の歌声が聞こえてきた。

女性が一人で楽しそうにダンスを踊り、歌っていた。
良く見ると女性は、数週間洗濯をしていないような黒ずんだボロボロの恰好で、
手にはビニール袋を持ち、中には薄茶色の液体がチャプチャプと揺れていた。

私と目が合うなり、手を差し出ししゃがれた声で「マネーマネー!」と言ってきた。
抜け落ちた前歯の隙間から、シンナーの臭いが鼻をつんざいた。

 ケンジ「おわー!なんじゃこのババアは!」
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白昼堂々と完全にラリッたおばさんと出くわし、私は仰天してしまった。
少し後ずさりし、逃げるようにそこを離れた。

シンナー吸ってるのに誰も取り締まらない。これがルーマニアなのか!

 

あのおばちゃん、記念に写真でも撮ってけば良かったかと思いながら、カルボナーラで一日を締めくくった。20レイ(約640円)
このあたりから私はカルボナーラにハマっていく。
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ブラショヴ観光・トゥンパ山へ

▼放浪354日目 2014/11/26(水)
大体ブラシェヴの街は満足したなと感じ、次の街へ移動する。
列車は午後14時発なので、午前中は近くにあるトゥンパ山へ登ることにした。
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道中、犬を連れたおじさまとすれ違い、気持ち良く挨拶をした。
「ブーナディミネアーツァ!(おはよう(^O^)/)」
オッサンはルーマニア語で何事か話しかけてきたが、うんうんそうだねと笑顔で適当に返事をした。
ああ、気持ちの良い朝だ。
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山にはまだ雪が積もっていた。
ルーマニアに入って雪を見るようになってきた。
ヨーロッパもいよいよ冬の到来だ。
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ブラシェヴの三日間。いまひとつピンとくるものは無かったが、自然豊かで街並みも綺麗で悪くなかった。
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夏の季節に来ると、もっと華やかで楽しいのだろう。
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この町で印象に残った事と言えば、街で出くわしたシンナーババアだろう。
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彼女の素性はわからないが、ルーマニアにはロマ人(ジプシー)と呼ばれ、差別されている民族が多いらしかった。
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日本にも沢山の差別がある。朝鮮人や中国人、韓国人への差別。障がい者への差別。
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ちなみに私はヤクザへの偏見がある。
暴力や薬物、恫喝などの印象があり、なるべく関わりたくは無い。
しかし、身近にいないだけであり、実際に会うと良い人だったりするのだろうか。
そういう報道だけで見たような一方的な思い込みの偏見をなくしたいものだ。
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色々な人種や個性を拒絶せず、受け入れて理解しあえる社会と己でありたい。
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午後2時。
次の街、シギショアラへ向かうべく列車へ乗り込んだ。

つづく

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