KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

元陽(中国・雲南省)のどこまでも絶景の棚田群・安宿や地図などの観光情報

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約9分

▼放浪166日目 2014/5/22(木)
中国の食べ物は旨い。
その中で一番食べている料理が「西紅柿炒蛋(シーホンシーチャオタン)」だ。

トマトと卵を炒めただけの、シンプルな料理である。
トマトのさっぱりとしたみずみずしさと、ふわふわな卵のコクが口の中で見事なコラボレーションを繰り広げてくれる。

油が旨みを出しているのだろうか、とても奥深い味がするのだ。
あの旨さは謎だ。

私は中国でこの料理を20回以上食べた。
そしてこの街の飯屋では、あまりの美味しさに2度も食べてしまったくらいだ。

何故日本に広まっていないのか理解できない。

大好きだ。シーホンシーチャオタン。
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元陽・新街鎮おすすめの安宿へ

そんな幸せなお昼ご飯を一人で過ごし、私は雲南省の山奥にある元陽の新街鎮という場所に居る。

4件程宿を周り、バスターミナルの脇の道にある、とても愛想の良いおじさんが居る「楼外楼客桟」に泊まっている。
眺めが良く、ベッドも清潔で広かった。
値下げ交渉すると、35元で泊まらせてくれる事になった。
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元陽の「新街鎮」一帯は、長い日照りの影響で水不足になり、宿のシャワーが出なかったが、周辺の宿も同様のようだ。
我慢するしかない。

—2016年4月追記—
最近は、棚田景観スポットの多依樹周辺にゲストハウスが乱立しているようです。
ベランダの目の前に棚田が見えるようです。Wifiあるみたいなので、泊まってみては。
※宿情報と予約はこちら→「Yuanyang K2 International Youth Hostel

 

元陽観光・多依樹(ドゥーイシュー)景観へ

▼放浪167日目 2014/5/23(金)
元陽観光の初日。
バスターミナルから南へ坂を上った所に、各棚田へ向かう乗合バンが集まっていた。
大体相場は決まっているようで、30元で多依樹(ドゥーイシュー)景観へ向かった。
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途中、女性運転手が、私に帽子をとって目立たないようにしろと指示があった。
意味がわからず従ったが、棚田の入場料に100元(約1600円)かかるらしく、チェックポイントでそれをタダで素通りさせようという運転手の試みらしい。

私は顔が中国人っぽかったらしく、現地人に紛れて入る事が出来た。
しかし後ろに乗っていた欧米人の女性は入場券を買えと指示を受け門番に降ろされていた。

試みが失敗して女性運転手は悔しいのか、ハンドルを手でバンバンと何度も叩いていた。

しばらく走ると、よくわからない道に降ろされる。

道に迷いながら、小さな集落を通る。
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そして、景観スポットにたどり着くと、その景色に息を飲んだ。
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田んぼが波を打つように、山の形の稜線に沿うようにへばりついている。
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その棚田が山の奥の奥まで続いているのだ。
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乗合バスで別の展望台へ行った。服の肩の部分がボロボロだ。
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少し高台にあり、そこからの景色も迫力があった。
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「どんな険しい山だろうと、絶対に田んぼを作ってやる!」という、村人達の気合が、この広大な景色からビシビシと感じられるようだ。
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驚くべきはこの規模の棚田が広範囲に渡って、何カ所も存在しているのだ。
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「凄い所に来た、凄い所に来た!」私は鼻息荒く写真を撮り続けた。
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夕方、目を爛々と輝かせながら興奮冷めやらぬまま街に戻り、満ち満ちた心で人民広場でのダンスを眺めながら一日を終えた。
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元陽観光・菁口民族村、猛品(老虎嘴)景区へ

▼放浪168日目 2014/5/24(土)
元陽には沢山の棚田景観スポットが存在している。
その観光の中心地となるのが、今泊まっている新街鎮という街である。

この街を中心に乗合バンで2時間以内で行ける棚田が数カ所点在している。
以下地図の赤い丸が大きな棚田の観光スポットである。
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左上の赤丸「遊客中心」がチケット売り場で、ここから北へ30分~1時間歩くと宿のある「新街鎮」に着く。

今日は街から南へ歩いて、チケット売り場に近い、菁口民族村を訪ねた。
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資料館もあったが、興味がそそられず。子供達との触れ合いを楽しんだ。




その後更に南の棚田のスポット、猛品(老虎嘴)景区へ向かう。

3時間程歩いても着かず、もう夕暮れも迫りほとほと疲れたので、乗合バンを拾って行く事にした。

地元の中国人も沢山居て、話しかけられるが、何とも答えられない。
「ピョウリャン!」という言葉を覚えた。
綺麗とか美しいという意味のようだ。
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この景観スポットは、かなりの高台にあり、山間に広がる棚田を一望する事が出来た。
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陽が傾きつつある時間の棚田もまた美しい。
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突然、雷が鳴りだして、一気に雨が降り出した。
急いで傘を出すと、側に居たカメラ愛好家の中国人2人を呼んで一緒に傘の下に入った。
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激しく地面に雨が叩きつける中で、小さな傘に3人濡れないようにカメラを抱えながらうずくまっている状況がとても滑稽に思えて、皆で大笑いをした。

雨が上がると、陽がさしてきて、またその棚田の風景が美しい。
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もう、なんか、やっぱり、美しい・・・。
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撮影中、ずっと物売りのおばちゃんが、腕輪を買え買えと付きまとっていたが、それも、なんか、美しい・・・。
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感嘆のため息を出しながら街に戻った。
広場から見える夕日も美しい・・・。
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夜食で食べた、シーホンシーチャオタン。
美しい・・。
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そうだ明日は朝日を見てみよう。
どんな景色が見えるのか、ワクワクしながら眠りについた。

 

元陽観光・多依樹(ドゥーイシュー)景観とリンムー

▼放浪169日目 2014/5/25(日)
朝5時、ドアの叩く音で目が覚めた。
眠い目を擦りながらドライバー挨拶をして、「多依樹(ドゥーイシュー)景観」へ向かった。

6時過ぎ、もう少し陽が出始めている頃到着すると、既に中国人の団体客が居た。
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霧と雲に見え隠れしながら、朝陽が見えてきた。
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しかし、朝陽と棚田の美しさを同時に捉える事が難しい。
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朝陽に光を調整すると棚田が暗くなり、棚田に光を調整すると、朝陽が白とびしてしまう。
プロは後で合成していると聞くが、個人的にあまり写真の加工はしたくないものだ。

写真的にはそこそこだが、朝の独特の爽やかな空気感が感じられたので満足する事が出来た。
結局この感動はそのまま写真に収める事が出来ない。肉眼は越えられない。
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棚田の景観スポットに併設されている休憩所で仮眠を取り、また少し出掛ける事にした。
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山の頂上にある街だったり、急坂にある街を訪ねたりと、歩き続けた。
その途中の道もまた綺麗な風景ばかりであった。
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これぞ雲南省だ。と山深い中国の景色にうっとりとした。
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夕方、もう大規模の棚田巡りも満足し、少し疲れて宿に戻ったところで、宿のおじさんがここから歩いて行ける棚田があるとの事で行ってみる事にした。

宿を出て道を歩いてすぐ、リュックを背負った日本人らしき男性とすれ違った。
声を掛けると、やはり日本人だった。
こんな辺境の、外国人観光客も居ない時期に日本人に会えた事に驚いた。

彼は大学院でバックパッカーの研究をしている。通称ガキさんだ。
一緒に近くの棚田を見る事になった。

ガキさんは3年程前にもこの元陽を訪れた事があるたしく、街の変化に驚いている様子だった。
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彼の中国語のお陰で、沢山写真を撮る事が出来た。ありがとう。
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ガキさんが3年前に会って、この元陽に長く住んで居る「リンムー」という日本人とご飯を食べる事になった。
ちなみに「リンムー」とは鈴木さんの中国語読みである。

3人でご飯を食べていると、リンムーさんが焼酎のような、強い酒を勧めて来た。
翌日私は元陽を離れるつもりだったので、「じゃ、軽く一杯だけ」と言って杯を飲み干すと、リンムーさんは「まぁまぁまぁ」と言ってまた注いでくれた。

あまりに強い酒で、もはやエタノールを飲んでるような気がした。

酒の強くない私は、10分もしないうちに酩酊状態になり、話の内容の記憶が無かった。

リンムーが何者なのか、何故元陽に居るのか、どうやって収入を得ているのか、すべてが謎となってしまった。
後に、どうやら写真家ではないかという話がある。

リンムーさん、また会ってみたい人だ。

酔いながら店を出ると、既に深夜1時を回っていた。
宿のおじさんに、夜遅く街を歩くと、人に刺されるぞと注意を受けた。

こんな酩酊では、明日の出発無理だなと思いながら、混濁した意識の中で眠りについた。

 

元陽観光・新街鎮周辺

▼放浪170日目 2014/5/26(月)
ガキさんの案内で新街鎮の街を案内して貰った。
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古めかしい路地もあり、雰囲気が良い。
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宿の主人とガキさんが談笑している。中国語で内容はわからない。
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夕方、人民広場の人々を撮り歩く。
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この元陽にある棚田は世界遺産ではあるが、街は全然ツーリスト向けになっていない。
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英語も通じないし、食べ物屋も英語のメニューのある店は少ない。
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欧米人には相当難易度が高そうだが、日本人は漢字が読めるので、まあなんとかなる。
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元陽棚田は、数か月前にネットで写真を見て行きたいと思って来てみたが、想像を超える美しさと規模であった。
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しかもこの美しさで、ベストシーズンでは無いという。3月や4月は田んぼに水が張って空に反射して更に美しいのだそう。
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しかし、自分の中でベストで最高な景色だと思えたので、それで十分である。

ありがとう元陽。

十分に棚田を楽しめたと感じ、翌日私はここを離れる決意をしたのだった。
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つづく

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コメント一覧

  • Comments ( 2 )
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  1. ピャオリャンは綺麗であってますよ!
    さすがに、写真素晴らしいですね!
    広州編楽しみにしています(笑)

    • あら!ガキさん!教えてくれてありがとう!
      「メイリー」もそうだもんね。
      ガキさんとの旅はまだ昆明編もあるでよ!