KENJI HIROTA PHOTOGRAPHY

房総半島カメラマン・ヒロタケンジ

【網走監獄-旅行記】強制労働の北海道開拓史と動き出しそうな蝋人形

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約6分


北海道をぐるっと一ヶ月旅した中で、何気なく訪れた「網走監獄」。
入館料1080円か・・・とボヤキながら中へ入ると、
多くの囚人が強制労働の末に亡くなった歴史、ロシア帝国と北海道開拓の歴史やら、知的好奇心が刺激されて、あっという間の2時間。
帰り道、これは1000円の価値ありだっ!と声高に叫びました。

この場所は北海道へ行く全ての旅人が訪れるべき!と感じ、記事にしてみました。
ご覧くださいませ。

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網走監獄はなまら寒い場所にある

千葉から車でスタートしたこの旅。
網走監獄は北海道北部、オホーツク海沿いの寒い地域にあります。
網走は流氷の観光で有名ですが、冬になるとマイナス30度(当時)まで下がる事もあり、監房の中でも氷点下を下回っていました。

極寒の檻の中で、囚人たちは暮らしていました。

当時のご飯を再現した「監獄飯」が(まあまあ)うまい!

見学の前に、まず腹ごしらえだ!と、ちょうどよく入り口に「監獄食堂」がありました。
2017年2月にリニューアルしたお洒落な建物は、内装もピカピカで監獄の暗い雰囲気は微塵もありません。(綺麗過ぎて寂しい)

ここで当時のレシピを再現した「監獄食」を食べる事ができます。
監獄のご飯と言えば、味噌汁とたくあんと冷えた飯、を想像しました。
しかし。

*ここで食べた訳ではありません

予想を超えて、安定感のあるメニューでした。

監獄食A(さんま)[¥720]を注文しましたが、普通の定食と大差なく、違いと言えばご飯に麦飯が混ざっていることくらい。他にもカレーやほっけ定食も選べます。
美味しくいただきました。

さて、お腹いっぱいになったので、館内に入ってみます。

蝋人形がリアル過ぎて怖い

館内に入って、まず目に入るのが生身の人間と見紛う蝋人形たち。
造り込み過ぎだろ!と叫んでしまう、リアルな蝋人形がたくさんありました。

生々しい人間が、音もなくひっそりと居るようで、部屋の中はドキドキします。

中には本物混じってるじゃないか?と、至近距離で確かめてしまうほどです。
しかし一体何百体居るんだよ、というくらいおびただしい数です。

囚人達が北海道開拓の道をつくった

館内の展示では、網走刑務所の囚人達が労働力として強制的に働かされていた歴史を知る事ができます。
囚人たちは道路の建設・硫黄採掘など開拓の最前線で、過酷な労働を強いられていました。

網走から旭川を結ぶ中央道路開削工事では、寒さや栄養失調で211人もの死人が出たといいます。
囚人たちが作った道は現在も存在していて、慰霊碑が置かれています。
(参考→「囚人が開いた土地」「函館深信-”囚人”道路を訪ねて

囚人が塀の外で作業を行い、日帰りできない場合、別名”動く監獄”と呼ばれる「タコ部屋」が作られます。
不衛生な環境と粗末な食事で、ここで寝泊まりをしながら、朝早くから夜遅くまで働かされていました。

釧路近く硫黄山での採掘作業では、硫黄成分によって意識混濁して殺傷事件や脱走、両目を失明したり、過酷な環境の中で、42名が亡くなくなっています。(参考→アトサヌプリでの本当の硫黄採掘の姿

弟子屈の硫黄山 (アトサヌプリ)

すべては南下するロシア帝国に対抗する為

何故こんなに厳しい環境に監獄を作ったのでしょうか。
当時のロシア帝国は、凍らない港<不凍港>を求めて南下政策を行っていました。
日本は北海道へ迫るロシアに対抗する為、軍備を整える必要があったのです。

僻地に刑務所を作ることで、囚人を労働者として。刑期が終われば移住者として住んでもらうという政府の思惑がありました。
小さな漁村だった網走は、刑務所と共に発展していきました。

圧巻の五翼放射状平屋舎房

敷地内を歩いていると、ひときわ大きな建物が見えてきました。
「五翼放射状平屋舎房」です。

扇のように放射状に伸びた形状は、中心から少人数でも見張りが出来るようにする為。
長い廊下には雑居房・独居房が並んでいます。

出典:博物館 網走監獄 HPより

各房は、一部の部屋のみ中へ入ること出来ます。
柱や壁、ひとつひとつが堅牢な作りになっています。

天井には、脱獄の常習犯「五寸釘寅吉」の蝋人形の姿があります。
目線や皺がリアルすぎる。

北海道行ったら旅人全員、網走刑務所行くべし!

という事で、紹介してまいりました網走監獄。
知識ゼロで上陸した北海道ですが、この見学でたくさんの北海道を知る事ができました。

特に収監されていた囚人たちが、道路を無理やり作らされた歴史には驚きました。
彼らの血肉の上に、いまの北海道があるような気がしました。

北海道の原点を知る事が出来る「網走監獄」。
すこし入館料は高いですが、価格が気にならない程に満足出来る内容ですので、北海道へ行ったらぜひ訪れて体感してください。

でわでわー。

-おまけ- 網走刑務所を舞台にした作品

網走監獄を題材にした、映画や漫画を見てから行くと、より楽しめるはずです!

・網走番外地
若き日の、ギラギラした高倉健さんを観れる作品。
収監の様子や、人間関係、風呂のシーンなど刑務所の生活が見れます。(スタジオセットらしいけど・・。)

・幸福の黄色いハンカチ
健さんが登場する時に、網走刑務所から出所してきます。
娑婆でラーメンを食べるシーンと、旅館で暖かい布団に寝るシーンが、大好きです。(そんなに網走刑務所のシーンはありません)

・ゴールデンカムイ
僕は見た事がないのですが、北海道を舞台にしていて、
網走刑務所も出てくるらしく、次に見てやろうと狙っている作品です。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました!

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