世界放浪2年の旅で訪れた、イランのヤズド。
“火”を重要視したゾロアスター教の中心地であったこの街には、鳥葬(鳥に亡くなった遺体をたべさせる)の風習があった。
その舞台となった沈黙の塔や、ヤズドの観光を記録した旅行記である。
・本記事は、2014年10月に旅した情報を元に作成しています
イランを38日間観光した情報や、費用・治安などのまとめは、以下の記事を参照されたい。
👉【イラン旅行38日間】輝けるイスラムの世界-観光情報と旅の費用や治安情報まとめ
ヒッチハイクとバスでヤズドへ
▼放浪307日目 2014/10/10(金)
イランの田舎町サラグハセイエドで奇妙な街並みを満喫した私は、次の街ヤズドへ向かった。
午前10時30分頃ヒッチハイクでシャフレコールドへ。
道の途中、遠くの広場で大勢が集まって音楽とダンスをしていた。祭りだろうか。
ぼんやり見ていると、中の一人のおっちゃんが強いジェスチャーでこっちへ来い!カモンカモン!と手招きをしてきた。
次のバスもあり、なんだか行くのも面倒でお前が来いや!と強いジェスチャーで返してあげた。
[19:00 発]エスファハーン→ヤズド
[23:00 着]ヤズド
エスファハーンから2時間、ヤズドに到着。

夜遅くに到着して宿代一泊分は勿体ないと考え、バスターミナルで夜を明かすことにした。
他にも数人の若者や、年配のおじさんが寝ている。
誰かが我々の荷物を狙ってはしないか辺りを警戒しつつ、抱きかかえるようにカバンを抱えて、硬いベンチの上で眠りについた。
ヤズドの安宿「オリエントホテル(Orient Hotel)」
▼放浪308日目 2014/10/11(土)
朝起きると、案の定体の節々が痛い。そういえばベンチで寝るのは初めてだった。
硬くなった体をほぐしながらバスで町の中心へ向かう。
宿泊した宿は、オリエントホテル(Orient Hotel)。一泊30万リエル(約1000円)
イランの安宿にしては少し高めの値段だったが、中庭が広く朝食も付いて質は高いと言える。
荷物を置いて共に旅をしている、のび太さんと町へ繰り出す。
ヤズドはゾロアスター教の聖地らしく、主な観光はその関連場所が多い。
ヤズド観光・アーテシュキャデ
最初に訪れたのが通称”火の家“と呼ばれる、ゾロアスター教の寺院「アーテシュキャデ」へ。入場料5万リエル(約175円程)。
ゾロアスター教は「拝火教」とも言われ、火を神聖なものとしている。
ガラスの奥で消えることなく1600年以上も燃え続けている聖火である。
ヤズド観光・沈黙の塔
市内バスを使い、次の観光地’沈黙の塔‘へ向かう。
バス停から目的地までは少し歩く必要があった。
山の周辺には廃墟の建物群が点在している。この雰囲気が良かった。まるでスターウォーズの世界だ。
沈黙の塔は、中へ入ることも出来る。土ほこり舞う中、坂を上っていく。
頂上からの見晴らしもなかなか良い。塔は二つ存在していて、高い方は女性用。もう一方は男性用で使われていた。
塔の中。ここでかつて、鳥葬が行われていた場所だった。(現在のイランでは禁止されている)
ゾロアスター教は火、水、土を神聖なものとしていた為、これらを汚す事になる火葬、水葬、土葬を行なう事が出来なかった。
自然を最も汚す事の無い方法が鳥葬であった。
東チベットへ訪れた時には、実際の鳥葬を見る事が出来た。またここでも見れるのかと思ったが、ただのくぼ地のような跡が残っているだけである。
ゾロアスター教の鳥葬は、インドのムンバイでは現在も行なわれているようだが、猛禽類に減少により土葬も検討されている。
*参考-Wikipedia 沈黙の塔
ヤズド観光・世界遺産に登録される旧市街
▼放浪309日目 2014/10/12(日)
翌日、大方の観光をした私は、ぶらぶらと町歩きをする。
イランのような暑い地域では、靴だと足が蒸れるので、サンダルで移動する事が多い。
しかし、ミャンマーで購入したお気に入りのサンダルがどこかへいってしまった。
街へ出て新しいサンダルを買う為に物色していると「Wifiサンダル」が目に入った。これはいい。
常にバリサンの電波で通信が出来るっ、と鼻息を荒くした。
今日はヤズドの旧市街を巡る。
ちょっと歩いただけでタイムスリップしたかのような雰囲気のある町並みが広がっていた。
時折、屋根を突き抜けて穴の開いた建物が見える時がある。
風の塔と呼ばれ、外から風を取り込み屋内を涼しくさせるもの。
ただ実際に涼しいかどうかは確認していない。
休みなのか、元々こんな感じなのか、どこも商店は閉まり人通りが少ない
素晴らしいと思っていたが、この旧市街は2017年に世界遺産に登録されるようだ。納得。
ああ、ヤズド、良い・・・!
ヤズドの青年と交流
夜になり、旧市街を離れて町の中心のレストランへ食事へ行く。
食べていると、とてもシャイな青年が話しかけてくれた。
何人か、旅をしているのか、結婚はしているのか、と店の主人に英訳しながら会話をした。
青年はまた照れくさそうにはにかみながら、私と出会った記念に何かくれないかと言ってきた。
そうか、私との出会いがそんなに嬉しい事なのか。ありがたい。
特に記念になるような物を持っていなかったのが、日本のお金と日本製の2色ボールペンを差し上げた。
すると彼は持っていた香水を私にくれた。
ああ、なんてことの無い交流がとてもホンワカとさせてくれる。
私はイランの街の中でヤズドが一番好きだ。
ガヤガヤしておらず、旧市街は静かな時間が流れ、なんとも風情がある。
ありがとう。さらば、ヤズド。
今度はちゃんと一眼レフカメラを持って会いに行きます。
翌日、次の街シーラーズへと移動する。
つづく