僕が2年間の旅の中で、最も心が熱くなり、魂を削るようにして歩いた780キロの道、
「カミーノ・デ・サンティアゴ」の旅をご紹介致します。
ヨーロッパの旅にあって、格安で旅行ができて、美しい絶景を沢山見て、美味しいご飯を食べて、
世界各国の友達と交流ができて、人生にかけがえのない思い出が刻まれた1ヶ月間だったのです。
※ この記事は2015年1月~2月に旅した情報を元に作成しましています
・スペイン巡礼の準備については以下の記事を参照してください。
👉冬のスペイン巡礼-準備編・1ヶ月本当に歩いて必要だった持ち物21個
・スペイン巡礼31日間、感動のゴールの模様は以下の記事を参照してください。
👉【スペイン巡礼の31日間】男泣きの780キロ!費用8万円で歩いたカミーノ・デ・サンティアゴの5つの特徴
サンティアゴ巡礼って何なの?
「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」とはスペイン西部に位置する都市の名前で、キリスト教三大聖地の一つです。
この聖地へ目指す旅を「カミーノ・デ・サンティアゴ(サンティアゴの道)」と呼びます。
「四国お遍路のスペイン版」と言うとわかりやすいでしょう。
聖地サンティアゴへは北部の海沿いやポルトガルからの道など様々なルートがありますが、僕は最もポピュラーな「フランス人の道」と呼ばれる、全長780キロを歩きました。
特にキリスト教徒ではなくてはならないというルールはなく、馬や自転車で行っても構いません。
途中の町から始めても良いし、疲れた!と言ってバスに乗ったり、一旦帰国しても良いのです。
すべてが自由です。
ルールがあるとすれば、巡礼者である事を証明するクレデンシャル(身分証明書)を所持する事でしょうか。これが無いと巡礼者用の宿に泊まることが出来ません。
現地の大きな町の宿、または日本でも購入できます。
※参考リンク:「クレデンシャル(La Credencial:巡礼手帳)」

さて、そんなサンティアゴ巡礼の一体何が魅力なのか?5つに絞って魅力を語っていきます。
サンティアゴ巡礼路の牧歌的な風景に癒される
「ヨーロッパの田舎を歩いてみたい!」僕がカミーノを決断した理由の一つでした。
スペインの北部を横断するので、様々な景色を楽しむ事が出来ます。
木々に覆われた深い森。どこまでも続く緑豊かな美しい草原の景色。
清らかな風に吹かれ、ゆったりのんびりと歩きました。
眠い目をこすりながら、夜明け前に宿を出発し、昇りくる朝日を見ながら歩き始めます。
夕方、一日中歩き疲れた体に沁みるような夕焼けを浴びて宿に着く。充実した毎日を感じました。
山越えのある日は、登るにつれて寒くなる気温と強くなる吹雪。足と背中に走るズキズキとした痛み。
「うう、オレはなんでこんな事をしてるんだ。ああ!もうやめたい!帰りたい!」と、心が泣き叫びました。
森の道、雪の道、砂利の道、草原の道、山道、泥道。
色々な道を通り、でもやはり美しい景色に救われながら、歩き続けました。
カメラの旅でもあったので、常に一眼レフを首に下げながら沢山の心に触れる景色を写すことが出来ました。
サンティアゴ巡礼路のバルで食べるスペイン料理が美味い
巡礼の旅は大量のエネルギーを消費するので、とてもお腹が減ります。
空腹のおかげもありますが、巡礼中に食べたスペイン料理はどれも唸るように美味しかったのです。
これはスペイン名物のパエリア。
その中でも絶品だったのは「プルポ」です。
タコのアヒージョ(オリーブオイルとニンニクの煮込)ですが、これまで食べたことの無いようなとろける食感でした。
巡礼後半の街、メリデという町の名産です。
サンティアゴ巡礼路は無料のワインが飲み放題
カミーノの人気スポットの一つに、蛇口をひねるとワインが出てくる(無料!)ポイントがあります。
「ワインの泉」と呼ばれ、イラーチェ村のワイナリーが巡礼者向けに提供しています。
通常は左側の蛇口からご覧のように出るようです。※画像はネットから拝借

サンティアゴ巡礼路は1ヶ月で8万円の費用
値段の安さもこの巡礼を選んだ理由の一つでした。
巡礼者は各町にあるアルベルゲと呼ばれる宿や教会に泊まることになります。
一泊5ユーロ~10ユーロ程(650円~1300円)とヨーロッパなのにとても格安の費用です。
共同のトイレやシャワー洗濯機や乾燥機もあるので、毎日リフレッシュして出発できます。
※ちなみにベッドには布団が無いので、寝袋は必須です。

総日数31日間。宿代と食費を合わせて、7万8千円で旅をする事が出来ました。
一日平均2500円程の値段。スペイン巡礼は格安の費用で旅が出来るのです。
僕は陸路で行きましたが、成田からスペイン行きの飛行機も安いようです。
エアトリで検索すると、往復で4万6千円のチケットを発見しました。時期を選ばなければ安い!
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人種の壁を超え苦楽を共にした仲間ができる
サンティアゴ巡礼は、外国人達との交流こそが醍醐味だと言えます。
僕はフランスの田舎街から一人で始めましたが、道中は様々な国の人に出会い友達になりました。
日本、韓国、アメリカ、イタリア、ドイツ、アイスランド、アルゼンチン、ロシア・・・などなど。
年齢も幅広く下は14歳くらいの少年から、60歳を超えたようなおじいちゃんまで。
そんな彼らと1か月、一緒に歩き、ご飯を作り食べ、笑い、励まし合い、イライラしたり、避けたり、助けられたり。
宿を離れるとまた一人旅になって黙々と歩くのですが、宿に到着すると「また会ったね!」と再会します。
道中、肉体的にはとても辛かったですが、彼らと共に苦難を乗り越えた一か月でした。
巡礼の最終日、旅を共にした韓国人とのお別れで私は嗚咽と共に涙してしまいました。
旅が終わり抜け殻になった状態で気が緩んだのか、思いもしなかった感情が溢れでてしまったのです。
詳しくは以下の記事に書いています。
スペイン巡礼の治安は?
過去、2015年にアメリカ人女性巡礼者が殺害された事件。
2017年に韓国人女性が襲撃された事件が発生しています。
また基本的に巡礼宿は相部屋(ドミトリー)なので不特定多数の人が自由に行き来できるエリア。
貴重品の管理には気をつけましょう。
念のためクレジットカード付帯の海外旅行障害保険に入っていれば、
1日の入院(最高270万まで)や、携行品被害(最高20万)が保証されます。
入会金・年会費無料のエポスカードがオススメです。
上記の事件はありましたが、私が31日間歩いていた時に、身の危険や治安の悪さを感じることはありませんでした。
女性が一人で旅をしている人も居ましたし、親子連れで旅をしている人、70歳を超えた人など、
老若男女たくさんの旅人が、のんびりと平和に旅を楽しんでいました。
備えは重要ですが、治安は心配しすぎても旅を楽しめなくなります。
気を引き締めつつ、その土地の空気や匂いを味わいましょう。
おわりに~サンティアゴ巡礼を振り返って~
旅を出発して1年が経ち、ヨーロッパを無気力に旅をしていたこの頃。
FBで友人が「カミーノ・デ・サンティアゴ」を歩いている事を知りました。
行くしかない!と東欧に居た僕は、急いでスペインへ移動しました。
期待通り、魂を削るような、燃えるような日々でした。
重さ25キロの全荷物を持って、毎日20キロ~30キロをただ歩く。
「辛い」「痛い」「寒い」「帰りたい」「嫌だ」「ダメだ」「もう限界だ」
と何度つぶやいただろうか。
しかし、ご飯は悶絶する程に旨く、休憩で飲むカフェの甘味は全身に沁みるようで。
一日の終わりのシャワーは声を上げる程の快感で、寝袋に入る直前はこれ以上ない程の幸せを感じました。
毎日死んで、毎日生き返るような日々でした。
生きている実感は、過酷な状況であるほどに感じられる。
「また行きたい」と思うのは、自分の生命力を感じたいからなのでしょう。
忙しい日本において、一か月休みを取ってスペインまで行くのは難しいかもしれません。
しかし、長い人生の中のほんの一か月だけ、こんな酔狂な毎日があっても良いとは思いませんか?
さあ、みなさん!巡礼へ出かけましょう!
以上、「カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼の旅」を紹介させて頂きました。
巡礼に必要な持ち物はこちらの記事を
冬のスペイン巡礼-準備編・1ヶ月本当に歩いて必要だった持ち物21個毎日のスペイン巡礼の状況を綴った、旅行記もあわせてご覧ください★
冬のサンティアゴ巡礼[0日目] 旅のはじまり。サンジャンピエドポーに集まる多国籍な巡礼者達
冬のサンティアゴ巡礼[1日目]絶望の初日ピレネー山脈越え
冬のサンティアゴ巡礼[2〜3日目]連日飲めない酒をパンプローナのバルで
冬のサンティアゴ巡礼[4〜5日目] エステーリャ・肩と背中の鈍痛が始まり旅のリズムを得てきた
冬のサンティアゴ巡礼[6〜7日目]ログローニョへ-蛇口からワインが飲み放題、でなくて
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冬のサンティアゴ巡礼[20〜21日目]巡礼の難所フォンセバドン峠
冬のサンティアゴ巡礼[22〜24日目]痛みと疲れに慣れた身体
冬のサンティアゴ巡礼[25〜27日目]猛烈過酷なセブレイロ峠
冬のサンティアゴ巡礼[28〜30日目]トロける旨さの名物料理「プルポ」
冬のサンティアゴ巡礼[31日目]旅の終わりともらい泣き
▼サンティアゴ巡礼関連のリンク
・サンティアゴ巡礼を題材にした映画
これらの映画を見て巡礼に参加した旅人も居ました。
・サンティアゴ関連書籍
・サンティアゴ関連リンク
NPO法人「日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会」
ウィキペディア「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」